ブンロク

地方アイドルの世界を描いたオムニバス『LOCO DD』公開

9月30日から、シネマート新宿で『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』が公開中だ。オトメ☆コーポレーションはじめ、日本全国から選ばれた地方アイドル3組にスポットを当てたオムニバスアイドル映画である。この初日舞台挨拶を取材した。

本作の主人公は、地方のアイドルたち。筆者がこの映画に以前から興味をひかれていたのは、筆者の姪っ子たちも熊本の地方アイドルとして活動しているからである。地方アイドルというものがどういうものなのか、わかっているつもりだったけど、この映画を見て、彼女たちの本気度をまだ何もわかっていなかったことを思い知らされた。

本作は島田元監督プロデュースによる自主制作映画となっている。この映画の企画は、飲み屋の席で生まれた。島田元監督がアイドルの映画を作ろうと大工原正樹監督と田中要次に持ちかけ、話しているうちに本格的にプロジェクトが始動して行った。島田監督はもともとアイドルの世界が好きな方で、SNSでもよくアイドルのことについて投稿していたのだが、その好きが高じて、こうして映画という形になって実現したことに感心すると同時に、島田監督らしいなと思ったものである。

オムニバス3話のそれぞれの主人公は、長野からオトメ☆コーポレーション(久保田光、比留川知絵、藤本美帆、荒井菜緒)、福岡からFantaRhyme(ファンタライム=Ayu、Saya)、静岡から3776(みななろ=井出ちよの)。島田監督は舞台挨拶で「良かったことは、3人でどのアイドルを描くかすぐに決まったことだ。俺は3776、大工原監督はFantaRhymeに決まってたけど、BoBA(田中要次)が”やるなら長野のアイドルがいい”というから、すぐにオトメ☆コーポレーションを見つけた。映画の撮影中に解散することになって、結果的にドラマティックな作品になった」と話していた。

作品は、ドラマパートとドキュメンタリーパートとライブパートの三要素が見事にブレンドされた見応えたっぷりの内容になっている。ドラマパートで彼女たちのキュートな一面を見せたあと、ドキュメンタリーパートで彼女たちの信念を伝えており、その上で見るライブパートはなんとも感動的なものになっている。一曲まるごとノーカットでじっくり見せるライブパートは必見で、胸にぐっと来るものがあった。そしてみんなすごく良い顔をして歌っているのである。それを見ているだけで、すごく幸せな心地になるし、アイドルの良さとはこれなのかと、筆者も少しわかった気がした。

映画館から出るとき、エレベーターの中で、この映画を見た人の感動の声が聞こえてきた。FantaRhymeのAyuが駄目男に説教をするシーンが良かったということで、筆者もそれは同意見である。アイドルが、どういう気持ちでアイドルをやっているのか、その真剣さが伝わって来るシーンになっているので、アイドルの世界に興味があるのであればこれは見て損はない。

島田監督は全国で順次公開する準備を進めていて、今後は長野など地方上映も予定している。(取材・澤田英繁)

2017年10月2日 09時54分

新着記事

KIYOMASA君
KIYOMASA君
(ブンロク公式キャラクター)