映画29作目 アンパンマンは、子供たちの人気者
6月25日(日)、豊洲で行われた『それいけ!アンパンマン ブルブルの宝探し大冒険』の舞台挨拶イベントを取材して来たので、今日は『アンパンマン』について書きたいと思う。
昨夏に公開された作品が東京テアトル配給になった1999年以来シリーズ最大のヒットとなるなど好調な『アンパンマン』も、今作でシリーズ第29作目となる。ゲスト声優に多部未華子、キャイ〜ンを迎え、やなせたかし先生の名作絵本「やさしいライオン」の主人公ブルブルを登場させた。
第1回の放送が始まってから、今年でもう29年経つわけで、筆者も放送が始まった頃はまだ小学生だったけど、僕自身は当時はこんなに長く続くとは思っていなかった。今では国民に欠かせない日本を代表するアニメになっている。UFOキャッチャーの景品でアンパンマンのぬいぐるみを取ったのは僕の少年時代の楽しい思い出のひとつである。そして感慨深いもので、今では僕の娘(2さい)が『アンパンマン』に夢中になっている。
『アンパンマン』、今までは気がつかなかったけど、まわりをみてみると、あちらこちらにアンパンマンがいることに驚かされる。児童館にもいるし、駅にもいるし、ファミレスにもいる。クリニックや歯医者にもいる。娘はいちいちそれを見つけては「アンパンマン!」と指差して大喜びする。今のところうちの娘が話せる言葉は、「ママ」と「パパ」と「アンパンマン」と「バイキンマン」くらい。まだターザンレベルの言語能力しかないけど、それでも『アンパンマン』のキャラクターだけはちゃんと言える。ママパパとアンパンマンバイキンマンが同格という。アンパンマンは何がすごいのかというと、誰にでも簡単に描けるということだ。どんなに絵が下手な人でもアンパンマンだけはうまく描ける。親の描いたひょろひょろのアンパンマンを見ても娘は大喜びで「アンパンマン!」と叫ぶ。誕生日にアンパンマンのぬいぐるみを買ってプレゼントしたら、歓喜して飛びついた。こんなにも幼児のハートをがっちりとつかめるのだから、やなせたかし先生は本当に偉大だったんだなと思う。
イベントでも、最初にアンパンマンとバイキンマンが出て来た時には子供たちは大喜びでキャッキャキャッキャはしゃいでいた。さすがはアンパンマンである。そのあと、戸田恵子(59)、中尾隆聖(64)ら吹き替えキャストが登場した。
司会の藤井恒久は戸田恵子を紹介するとき「アンパンマンといえば、この人、戸田恵子さんです」と言った。この紹介、うまいと思った。戸田恵子がアンパンマンの声の人だとは一言も言っていない。そして戸田恵子も自分がアンパンマン役だということは一切言わなかった。子供には誰かお姉さんが立っているとしか見えなかっただろう。アンパンマンの声が女性だとわかると夢が打ち壊されてしまうから、そこを配慮したのだと思われる。戸田恵子はアンパンマンが日本を代表するアニメだということを自負していると話していた。
一方、中尾隆聖は「はひふへほ!」と挨拶。本物のバイキンマンのすぐ隣で、バイキンマンに世界一そっくりな声真似で子供たちを喜ばせていた。
多部未華子は、ブルブル役。物心がついたときから当たり前のように聞いていた声を聞きながらレコーディングしたことが光栄だと話していた。キャイ〜ン天野は念願叶って『アンパンマン』に出演。ついでにウドもチョイ役で付いて来た。
イベントの後半では、『アンパンマン』シリーズの歌をずっと歌って来たドリーミングの二人が登場した。後ろの席にいた僕と同世代ぽいお父さんがドリーミングの二人を見て「すごいな」と言っていた気持ちがわかる。映画館に来ていた子供たちと全員で「アンパンマンのマーチ」を大合唱したときは、僕も感動で一瞬うるっと来てしまった。この曲はずーっと29年前から変わっていない。
『アンパンマン』の映画スタッフは、「映画館デビューは映画アンパンマンで」と願っている。映画館で、真っ暗になって、怖がって泣いてしまったらどうしよう。映画館に行くのは勇気がいること。でもアンパンマンなら日頃慣れ親しんでるからきっと安心。しかも映画を見ながら大声で騒いでも問題なし。みんなで楽しくアンパンマンを応援しよう。
『それいけ!アンパンマン ブルブルの宝探し大冒険』は、7月1日(土)より全国ロードショー。(澤田)