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『メッセージ』SF映画界のトップ対談が実現

2017年第89回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞、録音賞、音響編集賞の8部門にノミネートという快挙を達成し、見事音響編集賞を受賞した『メッセージ』(5月19日(金) 全国ロードショー)。各地の映画賞では47受賞、153のノミネートを果たした。この新たな傑作は4700万ドルの低予算ながら、全世界で1億9800万ドル以上の大ヒットを記録。巨大な宇宙船の襲来と地球外の知的生命体とのコンタクトというSFの王道的な設定と、ヒロインの人生の物語という全く異なる2つのストーリーを繊細に絡ませた感動のエンタテインメントとして世界中から絶賛されている。そしてこの度、本作のメガホンをとったドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が来日。4月14日、スペシャル会見が、ソニー・ピクチャーズ試写室で開催された。

ヴィルヌーヴ監督は登場すると、「『メッセージ』のことを話せる特別な機会をありがとう」と集まった報道陣に挨拶。また今回はスペシャルゲストとして、いち早く『メッセージ』を鑑賞し本作に惚れ込んだ『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を手掛ける前田真宏監督が登場。ヴィルヌーヴ監督と堅い握手をかわし、日米SF映画界のトップが一堂に会する貴重な機会が実現した。

樋口監督、前田監督は『メッセージ』に対し、「本当に知的なSF。ハートにグサッとくるような、頭を絶たれたような衝撃」と前田監督が感想を述べると、樋口監督も「21世紀に新しい形としてSF映画をアップデートさせた」と応戦。ヴィルヌーヴ監督の来日の機会に特別に応援映画を制作。樋口監督、前田監督に加え、 『攻殻機動隊』の押井守監督の日本を代表する3名のSF監督が本作の魅力を語りつくしている。押井監督は動画の中で「たぶん今年一番。本物のSF映画」とヴィルヌーヴ監督へこれ以上ないほどの賛辞を贈った。応援映画を贈られたヴィルヌーヴ監督は、3名の監督の熱い言葉と、見事に作り上げられた映像に感動した面持ちで「アリガトウ!映画は国境・文化を超えて伝えられることを分かってくれて、とても深く感動しました」とコメントし、喜びを表した。そして早速、樋口監督より「このような斬新なSFを作って、偉い人に、ああしろ、こうしろと言われなかったですか?」との質問にヴィルヌーヴ監督は「全然!でも唯一、中国の軍事基地について具体的な数は出さないでくれと言われたよ(笑)」と制作秘話を笑いながら明かした。さらに樋口監督から「すごくストイックに作っていますね。冒頭“彼ら”が地球にやってくるシーンだって、本当ならもっと見せちゃえ!と思うのに」と監督ならではの質問が飛び、「没入して観られる作品を作りたかった。一人の女性の親密で詩的な作品として描いたんだ」と答え、エイリアンについては「見えない方が怖さを感じますよね。参考にしたのは、実は『ジョーズ』なんだ。『ジョーズ』もなかなか姿を現さないからね」と意外な作品名が飛び出し、樋口監督と前田監督を驚かせた。続いて前田監督からはビジュアルデザインについて質問が飛び、「実は僕とチームは日本のデザインに影響を受けたんだ。エイリアンに強い存在感を与えるため、筆の感じや禅をイメージしました」と日本文化との関係を披露し、集まった報道陣を沸かせた。

さらに樋口監督、前田監督より、全世界が注目をしているあの『ブレードランナー 2049』について問われると「絶賛ポスプロ中です。スタッフは毎日頑張ってくれているところをお願いをして僕だけ抜け出し日本に来させてもらったんだ(笑)大好きな作品を咀嚼して自分の物として作らねばならない。わくわくするし、怖さもあるね」とのコメントに両監督は興味津々な表情で、期待感を見せた。

ヴィルヌーヴ監督は「本作は生きることを祝福し、文化の持つ力を掘り下げる物語。本日はお二人の監督と美しい時間を共有できて嬉しかったです」と “メッセージ”を贈った。イベント終了後には、樋口監督が持参し『ボーダーライン』のDVDにヴィルヌーヴ監督のサインをもらう和やかな一面も。大盛況の中、スペシャル会見は幕を閉じた。

2017年4月17日 09時41分

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