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怪談ツアーなど、松江市とポーラと鷹の爪団の異色コラボ企画が始動

株式会社ディー・エル・イー(以下、DLE)が、3月17日、都内で松江市とポーラと鷹の爪団のコラボ企画を発表した。発表会には、声優の茶風林、作家の木原浩勝、FLASH動画制作者のFROGMANが出席した。

島根県というと、日本の47都道府県知名度ランキングで最下位になるなど、そこがネタになることも多い県である。県がどこにあるのか答えられない人も多く、過去FROGMANは「島根は鳥取の左側です」など自虐的なネタで島根県を必死でPRして来た経緯がある。とは書いたものの、魅力がいっぱいある県だと筆者は思うし、知名度が低いことが解せない。筆者は若い頃、出雲大社に行ったことがある(鳥取砂丘に行く前に寄っただけというのは内緒だけど)。石見銀山だって世界的に有名だ。そして島根の中でも今最も気を吐いているのが松江市である。松江城が日本に5つしかない国宝城郭のひとつになったことで一気に注目が集まった。これまでもDLEは国宝松江城を活用したリアル城攻めイベントを開催するなど、様々なキャンペーンを行なって日本にムーブメントを起こそうとして来た。そして、ここに来て、また新しい企画が動き始めたのである。

その新企画とは、怪談のふるさと松江市と株式会社ポーラと鷹の爪団がコラボするというもの。松江市長も直々にビデオレターを寄せ「この三者が”三本の矢”となって欲しい」と大いなる期待を抱いている。

まずはなぜポーラなのかについて書かなければなるまい。何を隠そう、島根県は日本で一番美しい肌を持つ「美肌県」としても知られている。ポーラは、日本全国のポーラのお店で、スキンチェックをデータ化、47都道府県で、肌の潤い、ニキビやシミができにくい肌、毛穴が目立たないなど、全6部門でデータを解析。総合結果を毎年順位にして発表している。島根県はこのランキングで4年連続グランプリを受賞しており、その点では間違いなく「美肌県」だということでポーラからお墨付きをもらったのである。なお、司会は松江出身の芸人・出雲阿国が務めていたが、その芸名からしていかにも島根的な芸人ではあるが、彼女のその肌のピッチピチなこと。やはり島根が美肌県であることは嘘ではないようだ。かくして、これはコラボしない手はないということでポーラの参画が決定した。奥さんが松江出身というFROGMANが手がける動画「吉田の松江ビューティー大作戦」も今後展開していく。

余談だが、去年のランキングでは島根は2位に落ちてしまった。1位は広島とのこと。”三本の矢(サンフレッチェ)”といったらむしろ広島をイメージしてしまう気がするのはさておき、「カープが優勝したから幸せになって肌が綺麗になったのだろう」とFROGMANは悔しさをにじませた。

そして今回一番の目玉企画が、松江市が「怪談のふるさと」であることを全面に押し出して行こうと言う企画である。茶風林と木原浩勝が松江大使として壇上に登場した。二人は松江市とはそれまで縁もゆかりもなかったが、大きな共通点として「怪談」があった。松江市は、『雪女』、『耳なし芳一』など数多くの怪談を書いた小泉八雲がかつて住んでいた場所で、八雲の妻も松江出身ということで、まさしく「怪談のふるさと」というにふさわしい場所だということで、それをPRして行く。怪談といえば、木原浩勝。以前、木原に松江市に怪談の講演をお願いしたところ、観客の9割は他県からの客だったということで、「怪談で他県から松江市に客を呼べる」、これは良いぞということで、そのまま流れに乗って木原は松江大使に任命されることになったという。「それならばぜひ茶風林も大使に」という木原の推薦もあり、茶風林も松江大使になった。茶風林は『サザエさん』の波平役で有名だが、一方で怪談を聴きながら酒を楽しむ「怪し会」を主宰しており、怪談の朗読にかけては右に出るものはない声優である。「松江観光大使が行くゴーストツアー」という怪談ツアーも企画しており、木原は「ロンドンでもパリでもロサンゼルスでも怪談ツアーをやっているのに日本にはなんでないんだろうと思っていた。そんなときに松江市がやってくれた」と力を込めて語っていた。

さらにFROGMANが怪談の動画制作を買って出、この日『指の輪』という怪談動画を上映して見せた。あの『秘密結社 鷹の爪』のタッチで怪談ってどうよと思ったが、これが不思議なもので、茶風林のあの名調子と、木原の見事なストーリーテリングとも相まって、背筋がぞぞっとなるような非常に怖い動画に仕上がっている。FROGMANは、さすがFLASH動画をひとりで作って映画館で公開するという前人未到の荒技で映画の一ジャンルを生み出しただけのことはある。

また余談だが、筆者は熊本出身なので当然熊本びいきなのだが、実は小泉八雲は熊本にも住んでいたことがあり、むしろ熊本の方が松江市よりも住んでいる年数が長く、熊本でも小泉八雲を県をあげてやたらとフィーチャーしている節があるが、いや、この熱意は正直松江市の方がかなり上を行っていると思う。取材しているうちに松江市にえらく愛着が沸いて来たものだ。松江市では、小泉八雲の世界を追体験しようと、魅力的なコンテンツをこれからどんどん送り出して行くようだ。今後の動向はぜひ注目しておきたい。(取材・澤田英繁)

2017年3月18日 19時58分

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