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    里見浩太朗が自主制作映画『すもも』にノーギャラで友情出演

    2月4日(土)、中野区にて、映画『すもも』の上映イベントが行われた。本作は、国民的な時代劇『水戸黄門』を撮って来た井上泰冶監督が、「自主制作」で作った時代劇である。この作品に、里見浩太朗が友情出演を果たしている。自主制作映画に、里見浩太朗ほどの大俳優が出演するのは極めて異例なことである。イベントは立ち見客が出るほど盛況だった。

    まずは井上泰冶という監督について書かせてもらう。井上監督は、俳優育成を目的として「時代劇塾」というワークショップを行なっていて、そのワークショップには幅広い年齢層の俳優たちが参加している。これまで、「塾生」たちと共に舞台興行を行ったり、様々な活動の場所を提供して来た。意欲的に映画も制作しており、以前『戦国の勝者』という、とある戦国武将の半生を描いた作品をクラウドファンディングで資金を集めて製作したこともある。

    そして井上監督の最新作が、時代劇映画『すもも』である。こちらも自主制作である。自主制作となると、資金調達から宣伝まで、自分たちで何もかもしなければならない。今度はクラウドファンディングを利用することなく、自主サイトを立ち上げて多くの企業の協賛を得ることができた。

    自主制作の強みとして、自分たちのスタイルを貫けるメリットがある。『すもも』はモノクロ映画である。商業映画の場合、必ずといってカラーで描かれるが、井上監督はあくまでモノクロの世界で表現することを選び、作品に芸術的な趣を与えている。まさに『すもも』は、モノクロだけにしか描けない、独特の美学が詰まった作品となった。井上監督はプロ意識を持って本気でこの作品に取り組んでいて、今はモントリオール映画祭に出品する準備を進めている。

    主人公を演じているのは、高杉瑞穂である。高杉さんが演じた役としては、時代劇ファンなら『葵 徳川三代』の徳川忠長(家光の弟)の存在が鮮烈に脳裏に焼き付いているだろう。高杉さんにとって『すもも』は映画初主演作となった。共演者は土居志央梨だ。土居さんには見るものをぐいぐいと引き込む魅力がある。

    イベントでは、上映前に舞台挨拶が行われ、この日来ていた出演者たちが全員ステージに登壇した。商業映画の舞台挨拶の場合、メインキャストだけが登壇するものだが、井上監督は出演者全員をステージに立たせて、全員にリスペクトを示したのである。塾生たちのために、映画を作って形にし、晴れの舞台に立たせる。これまでの努力が報われるときである。この粋な計らいに監督の人情の暖かさを見た思いである。

    人情といえば、話を戻そう。里見浩太朗ほどの大俳優がこの作品に出演していることは驚くべきことである。いくらかギャラが出ているのかと思えばそうではない。まったくのノーギャラ。里見さんは、『水戸黄門』に助さん役で出演していたときから井上監督のもとで演出を受け、『長七郎江戸日記』(余談だが長七郎は徳川忠長の遺児という設定)でも共に仕事をし、里見さんが水戸黄門自身になってもその現場には井上監督がいたのである。本当に長い付き合いで、『すもも』では、これまで苦楽をともにしてきた井上監督のために、文字通りの「友情出演」を果たしているのだ。「友情出演」という言葉はこれまでもよく耳にすることがあったが、ここまで感動的に大きな意味を持った「友情出演」もなかなか珍しいのではないか。里見さんのこの日のスピーチが非常に素晴らしいものだったので、最後に引用しておく。

    「満席で、立ち見の人もいるのを見て、本当にホッとしています。自主作品というのはお金が一銭もないんですよ。一銭もないところからものを作るんです。出演者もみなさんギャラももらってないんです。それでも一本の映画を作らなければいけない。井上監督とは、『長七郎』、『水戸黄門』の助さん、水戸黄門自身、ずーっと若い時から一緒にテレビを作ってる仲です。1本の映画を作るのに、1億だ2億だ、テレビでも1時間の『水戸黄門』を作るにも3000万円のお金がいるんです。それはスポンサーが出してくれるからできるんです。我々も監督もギャラをもらって作るんですけど、一銭もお金がない人が映画を一本作ったんですからそれはもう大変なんです。私、監督と最初に会ったとき、”映画を作る、出てくれないか”、”いいよ、昔からの仲だから”、”ギャラはない”、”いいよ”、”京都までの汽車賃も出ない”、”いいよ”、それでもちろんやらせてもらいました。なぜなら『すもも』という映画の台本がとても良かったんですね。すももの味って知ってます? 甘くてちょっとすっぱくて、えも言えぬ味がする。その味がこの映画の味なんです。まさにこの映画は甘くてすっぱくて。そして人間が生きるために何をしなきゃいけないかということ。みんな善意を持って取り組んでいく幕末の一時代を透視した人間の姿なんです。楽しんでいただきたいと思います。ありがとうございました」

    『すもも』は今後、随時全国公開していく。(取材・澤田英繁)

    作品紹介ページ
    https://hizen.nagoya/item/3341


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    6ヶ月前 2017/2/6 20:08:07
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第668号(8/14) 今週のブンロクニュース

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