ブンロク

クラウドファンディングで最多支持・最高額を集めた『この世界の片隅に』が公開

11月12日(土)、新宿にて、『この世界の片隅に』の初日舞台挨拶が行われ、主演声優ののん(23)、監督の片渕須直(56)、音楽のコトリンゴ(38)が登壇した。

広島・呉を舞台に戦時中の日本を描いたこうの史代原作のマンガをアニメ映画化した作品。クラウドファンディングで開始一週間で目標額2000万円を突破。2ヶ月で当時映画ジャンルにおける国内最多3374人というケタ違いの驚異的支援者を集め最高額3912万1920円を集めたことで話題になった作品だ。利用されたクラウドファンディングのプラットフォームは「Makuake」だったが、その当時は常に「Makuake」のトップページにでかでかとこの映画の募集が掲載されて大いに注目されたものである。たまたま筆者もこれと全く時を同じくして「Makuake」で出資者を細々と集めていたときだった。筆者は80万円しか集まらなかったのに、片やこちらは3000万超え。筆者は毎日羨望の眼差しで見ていたものである。この異常ともいえる大反響を知る筆者にとってはこれは因縁浅からぬ戦友ともいうべき作品だと一方的に勝手に思っていて、完成した暁には取材しようと前々から思っていたが、あれからこうして公開に来るまで、1年と半年もかかっているとは。映画をひとつ作るのにも非常に時間がかかるということだ。時の流れをしみじみ感じるが、片渕監督もこの日「この映画を作るのに”1300日コラム”を書いていたのに、ここまで2292日かかりました」とコメントしていたほどで、初日を迎えたことは感動も大きかっただろう。

片渕監督はお気に入りのシーンについて画面が真っ暗になり火花が散るシーンをあげていた。「原作では口紅で描いたり左手で描いたり色々な描き方をしている場面だから、映画でも工夫しようと思って、カナダのノーマン・マクラレンへオマージュをささげました」と語る監督。ノーマン・マクラレンはフィルムに直接傷をつける手法でアニメファンの間では神格化されているアーティストである。しかし「これをアートアニメーション協会の人に見せて感想を聞いても、誰もノーマン・マクラレンのことを言ってくれなくて、みんなのんちゃんのことばかり話していましたよ」と苦笑いしていた。

主人公すずを演じたのんは、「すずは、生活を楽しんでいる。私には生活をする才能がなくて、お洗濯とかも苦手だったので、すずのおかげで楽しさがわかってきて、生活するのが楽しくなりました」とコメント。司会に些細な幸せのエピソードについて聞かれると「チョコレートとポテトチップスを食べるときです。でも制限してて、どちらかを1日1個しか食べられないんです」とのん。監督からこの前キャラメルをいっぱい食べていたことを指摘されたのんは「キャラメルは制限してないんです」と言って笑いを起こしていた。

『この世界の片隅に』はテアトル新宿、ユーロスペース他全国ロードショー中(澤田)

2016年11月14日 01時45分

新着記事

KIYOMASA君
KIYOMASA君
(ブンロク公式キャラクター)