女に生まれ変わった男を描く『ハイヒール革命!』、期待の”ニューカマー”真境名ナツキ登場
7月17日(日)、港区にて、『ハイヒール革命!』の舞台挨拶が行われ、主演の真境名ナツキと濱田龍臣、古波津陽監督が登壇した。
本作は、性的少数者「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字)」の世界を描いた作品で、第25回レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜のプログラムの中で上映された。
少年の頃から可愛いものが大好きで、小学校では黒いランドセルに違和感を覚え、中学の時に自分はスカートをはいて学校に行きたいとカミングアウトした真境名薫の役を、濱田龍臣が演じ、真境名ナツキ自身が真境名薫の現在の姿として本人役で登場している。真境名ナツキ本人と彼女の家族・親友・知人たちのインタビューで綴ったドキュメンタリーパートと、濱田龍臣による過去を再現したドラマパートのハイブリッド形式の作品になっている。
濱田は人生初、カツラをつけて女子の制服を着て演じることになったのだが、彼に配役が決まったときは、真境名もびっくりしたそうで「まさかと思いました。私とは全然似ても似つかないし、イケメンだし。どうしようと思って友達に話したら、友達も”全然似てないじゃない”と言ってくれて大事件になりました。子供の頃のイメージしかなかったのに、会ってみたらすごくイケメンで、気さくな人でした」と振り返るなど、舞台挨拶でもオネエキャラ全開で場を盛り上げていた。古波津監督は「バレーボールの場面では、キャピキャピしていて、どの子が濱田君かわからなくなるほど他の子と溶け込んでいた」と濱田の女装についてコメントしていたが、あまりにも見事にはまっていたものだから「目覚めなかった? 大丈夫?」と真境名から心配されて濱田は「大丈夫です」と照れ笑いする場面もあり、会場一同爆笑していた。
真境名ナツキは、本作で映画初出演、いきなりの主演女優デビューとなったわけだが、「私は私自身としてありのまま見てもらった方が良いし、その方がリアリティがあると思った」という彼女の要望から、彼女のシーンはすべてドキュメンタリーの形式で描かれることになったという。ドラマパートに出てきた登場人物が、ドキュメンタリーパートではご本人登場みたいな形で出てきて、どこかユーモラスな空気に包まれている。シリアスなドラマと、ユーモラスなドキュメンタリー、この二つがほどよくブレンドされ、現在と過去が絶妙のタイミングで交錯し、見るものをぐいぐいLGBTの世界へと引き込んでいく。自分の子がもしも性同一性障害だったなら、などといろいろ考えさせるものもあるが、愛情たっぷりに描かれていて共感できる内容になっている。中でも、彼女がコンプレックスを乗り越え、定時制高校で周囲に普通の女性として受け入れられていく様子や、ニューハーフたちの陽気な姿などは、見ていてほっこりした気持ちにさせてくれる。一般公開は9月17日から。