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黒木瞳、初監督作品『嫌な女』の船出に瞳うるうる

6月25日(土)、有楽町にて、黒木瞳の初監督作品『嫌な女』の初日舞台挨拶が行われ、黒木瞳監督と、映画初主演となる吉田羊、ダブル主演を務める木村佳乃、共演者の中村蒼、古川雄大、ラサール石井が登壇した。

『化身』はじめ『失楽園』など、これまで女優として輝かしい功績を残して来た黒木瞳が、原作に惚れ込み、自ら版元に手紙を書いて映画化権を獲得し、自ら監督する道を選んだ。キャリアのある女優が監督になるケースは非常に稀で、海外でもジョディ・フォスターくらいしか名前が出てこないくらいだが、女優による監督作というものは、いろいろと苦労の連続だったようで、本人がこの作品にかける思いもひときか大きいものだったようだ。

初日というものは監督という職業の人にとって特別な思いがあるという。初めてお金を払って自分の作品を見てもらえるわけだから、それだけでも感無量で、我が子が巣立っていくような思いになるという。黒木瞳も同じ思いだったろう。舞台挨拶慣れしているはずの黒木瞳も、今日ばかりはさすがにやや緊張した面持ちで、声も少し震えているような気がした。「私の胸を押してくれたのは・・・」といきなり日本語を間違えてしまい、「私の背中でした。胸を押したら大変ですね」と照れ笑い。「途中、なんども諦めそうになりました。くじけそうになりました。告白しますと撮影中に本気で帰ろっかなと思ったことがあります。そんな私の背中を押してくれたのは役者たちのキラキラしたオーラと、映画を見てくださった方がきっと笑顔になってくれるだろうと信じることでした」と感無量の面持ちで語っていた。舞台挨拶の最後には観客全員で一斉に「公開初日おめでとう」の言葉を黒木瞳に贈ってヒマワリのうちわを振るサプライズもあったが、そこで黒木瞳も一気に感動したのか、瞳をうるうるうるませて「お客さんを元気付けるつもりが、私たちの方がお客さんに元気付けられましたね」と感謝しきりだった。

しかし、その演出はいかがなものだったかというと、非常に我が道を行く演出だったようだ。「女優に演出されるということで、刺激になった」という吉田羊が詳しく語ってくれた。「黒木さん、すごく音感がよくて、”今のセリフ、ミレミミじゃなくてドレドドでお願い”と言われたんですよ。それがわかるようなわからないような、宝塚で培った実績なんですかね。難しかったです。最後まで理解できませんでした」と吉田羊。すかさず黒木瞳は「”受け入れるようになってきた”の”た”がミの音じゃないですか。次ドから入るよりもソでやった方がいいじゃないですか」と説明するも、ラサール石井に「全然わかりません」と一蹴された。「雄大さんは『エリザベート』やってるからわかりますよね?」と同意者を求める黒木瞳だったが、古川雄大も「僕ミュージカルやってますけど、僕も全然わかりません」と返され、あっけなく撃沈していた。黒木瞳自身は頭の中ではセリフもまるで音楽のように美しく奏でられているイメージなのであろう。黒木瞳のある種の作家性がうかがえたコメントだった。

最後に、この日のラサール石井のコメントが非常に素晴らしく、舞台挨拶のお手本とも言えるものだったので、ここに記して黒木瞳の新しい門出を祝福したいと思う。

「黒木さんの初監督作品ですが、普通なら”黒木組”というところ、”瞳組”と呼んでいました。舞台挨拶というものは、美男美女、綺麗な女優さんと俳優さんが立ってするもので、その中に一人、むさくるしいおっさんがいたとしたら、その人がだいたい監督だったりするわけですが、今日は監督もお美しく、僕はバランスをとるために呼ばれて来ました。瞳監督、吉田羊さん、木村佳乃さん、それから永島暎子さん(当日出席予定だったが急遽欠席になったことの配慮)と、本当に美しい女性に囲まれた綺麗で華やかな現場でした。美しいことは素晴らしいことですね。監督は美しいだけではなく、初監督とは思えない素晴らしい作品になっています」

『嫌な女』は、全国公開中。

2016年6月25日 20時23分

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