アカデミー賞主演男優賞を初受賞『レヴェナント』レオナルド・ディカプリオが来日
3月23日(水)、六本木にて、『レヴェナント:蘇りし者』の記者会見が行われ、来日したレオナルド・ディカプリオが登壇した。
ディカプリオはこの作品で初めてアカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。アカデミー賞受賞者としてはこれが初めての来日になる。
ただでさえディカプリオの来日には注目が集まるところであるが、今回はいつもとはちょっと違った。アカデミー賞を取ったことで、こうも変わるのかという感じである。それだけこの賞の重みは大きかったと言える。
遡ると、ディカプリオはこれが5回目のノミネート。これまで4度もノミネートされていながら一度も取っていなかったのだ。アカデミー賞から相当嫌われているようだ。それも『タイタニック』はアカデミー賞史上最多11部門で受賞していながら、主演のディカプリオはノミネートすらされなかったという嫌われぶり。「人気者には賞を与えないアカデミー賞は嫉妬心の塊」と揶揄されることもあるほどだが、今回こそはアカデミー賞もその執念の演技力をもう認めざるを得なかった。映画を見てもらえばわかるが、これだけの演技をして取れなかったとしたら、もうアカデミー賞の格式が疑われるところである。
これまでスコセッシ監督などと共に「無冠の帝王」と言われたディカプリオだが、ディカプリオの場合、あれだけの名作に恵まれ、あれだけの名演技をしていながら、アカデミー賞にそっぽを向けられていたことこそかっこよかったから、一ファンとして、今回の受賞は複雑な気持ちでもある。でもやっぱり取ったことは一ファンとして大いに喜びたいし、会見の席でも筆者は本気でディカプリオに拍手を送った。
記者会見は15分遅れての登場だった。しかも最初の挨拶と最後の挨拶はしないという。突然の要望による進行変更である。登壇してすぐに座って質疑応答が始まり、質疑応答が終わったらさっさと写真を撮らせて終わり。無駄を削ぎ、時間が許す限り質疑応答だけしかしないという彼なりのこだわり。過去のディカプリオの会見では、筆者の記憶ではこんなことはなかったはずなので、大物になったという印象である。そもそももともと大物だが、アカデミー賞を取ったことでさらに大物になったという感じだ。
受賞したのは一ヶ月前の話だが、それでも会見ではアカデミー賞の話題に集中した。先日主演女優賞を受賞して来日したブリー・ラーソンのときはアカデミー賞の話題は最初だけだったのに、ディカプリオの場合、ほぼ終始アカデミー賞の話題が途切れなかった。記者にとってもアカデミー賞受賞は最も興味のあることだったのである。繰り返しの質問にため息すらつかず、アカデミー賞の話題は本人もまんざらではなかったようだ。
ディカプリオはトロフィーのオスカー像をパーティ会場に忘れたらしいが、記者からの質問に「今オスカー像はどこに置いてますか?」という質問まで飛んだ。会場は爆笑。ディカプリオは照れ笑いしながら「家に置いてあるよ」とコメントしていた。アカデミー賞を受賞したことについては素直に「気持ちがいいこと」とも。しかし、「でもこれを取ったことで変わりたいとは思わない。これまでと何も変わらないことを望む」とも話していた。
本作はサバイバルをテーマにした作品ということで、「サバイバルの状況になったとき、何か3つ持って行くとしたら、何を持って行きますか」という質問もあった。ディカプリオは「電話と太陽電池とライター」と回答。間髪入れず記者は「オスカー像は持っていかないんですか?」と聞き、ここでもアカデミー賞ネタが尽きない感じだったが、ディカプリオは笑いながら首を横に振っていた。
『レヴェナント:蘇りし者』は、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督によるサバイバルドラマ。極寒の地で、凍てつく川に浸かるなど、ディカプリオは命がけの演技をこなしている。全体を通して長回しのシーンが多く、自然光だけで撮影していることもあり、毎日決まった時間までにスタンバイして、太陽の位置がマジックタイムと呼ばれる時間に来たら撮影を始めるという手法で、ディカプリオは「まるで舞台劇を演じているようで気持ちのいい撮影だった」と話していた。(取材・澤田)
『レヴェナント:蘇りし者』は4月22日(金)よりTOHOシネマズ日劇他全国ロードショー。