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ゲームマーケット2015秋レポート

11月22日(日)、東京ビッグサイトにて、「ゲームマーケット2015秋」が行われた。

ゲームマーケットは、年に3回行われる国内最大規模のアナログゲームイベントである。ボードゲームやカードゲームなどの即売会・試遊会などが行われ、企業ブースだけでも50以上、一般ブースについては400近くの個人・団体が出店した。

今年からあらたに「ゲームマーケット大賞」が新設された。ゲームマーケットで販売されたアナログゲームを選定対象とし、アンケートの結果と審査員の推薦で候補作品が決められ、「海底探検」、「枯山水」、「ひとひら」、「PRINCESS ESCORT」、「Minerva/ミネルウァ」の5作品が優秀作品に選ばれ、その中からオインクゲームズの「海底探検」が大賞に選出されたことがイベント当日に会場で発表された。「海底探検」はシンプルなスゴロクゲームの一種であるが、途中にはジレンマがあったり、見た目にも楽しい作品になっている。

筆者もイベント会場に潜入して来たので、ちょっとだけその様子をレポートする。

まず、イベント開始直前の会場入り口の列の長さにぶったまげた。こんなにもアナログゲームに興味を持っている人がいるのかと驚き、アナログゲーム市場の可能性の高さを感じた。午前10時からイベントが開始。開始時刻には出店者が全員で一斉に拍手をしていた。みんなこのときをずっと心待ちにしていたという感じがした。

開始して早速筆者が遊びに行ったのがメイカーズポストの「VRボードゲーム試遊会」。アナログとデジタルが融合した遊びということで、どんなものか気になっていたものだ。iPhoneが中に入ったゴーグルを使用して遊ぶもので、ゴーグルを覗くとバーチャルリアリティの迷宮が視界に広がっている。自分が今どこにいるのかを他のプレーヤーに伝えて、その証言を聞きながら他のプレイヤーがパネルを組み立てて迷宮のマップを作成していくというもの。なかなか制限時間内にうまく伝えられないもどかしさと、迷宮が完成したときの感動が相まって非常に画期的で面白いゲームだった。

次に目を引かれたのが「壬辰の戦い」というボードゲーム。一目見て一発で妙な愛着を覚えたゲームだ。台湾から来た張さんがクラウドファンディングで資金を集めて作ったものだった。秀吉の朝鮮出兵を豪華にゲーム化していた。これが初めて作ったゲームだと言ってたけど、あまりにも完成度が高すぎて驚いた。台湾からわざわざ日本の武将を主人公にしたゲームを作って日本に持ってくるなんてすごすぎ。感心しまくりだ。

こんな感じでどのブースもおのおのアイデアを出して独特のゲームを売っていて、いろいろ名作を発掘できそうだった。歩きながら、面白そうだなと思ったブースを見てみたり、ときには試遊してみたり。楽しみ方は人それぞれだ。一般ブースのほとんどは無名の人たちが作ったものだけど、中には傑作といえる作品も多く、世の中には本当にたくさんのゲームが埋もれているのだと実感した。

出店していたあるブースの大学生の言葉が心に残っている。「60個持って来たんですけど、1時間で完売してしまったんですよ。自分のゲームなんて全然売れないと思っていたのですが、まさかこんなに売れるなんてまったく予想していませんでした」。聞けば原価は1400円で、それを1500円で販売していた。1個売っても儲けは100円である。「儲けのことは考えてないんですよ。趣味でやっているんで、遊んでもらえるだけでも嬉しいんです。交通費分だけ取り戻せればいいんですよ」。この言葉がゲームマーケットの本質を表しているような気もしている。

ビジネス目的で来ている企業がありつつ、その一方で、純粋にゲームを遊んでもらいたくて来ている一般のゲーム作家も多く、その二者がこのマーケットには混在しているのだ。最近では一般の作家の作品でも市場に流通できるほどの品質になってきているのだが、ゲームマーケットの価格にユーザーが慣れてしまっているせいで問屋に卸せるだけの価格設定ができにくくなった傾向もあるように思える。ゲームマーケットはアナログゲーム業界を活気づけているけれど、この世界は、こういう趣味人たちに支えられているのかもしれない。一般の作品がいつでも市場に流通できるだけのポテンシャルを持っているため、そのうちゲーム市場が大化けする可能性も秘めている気がした。そんなことをふと思った1日だった。

実は筆者も以前からゲームマーケットに興味を持っていて、今回こそは出店するつもりでいたのだが、残念ながら制作が間に合わなかった。恥ずかしい限りである。制作もなかなか思い通りにいかないものだとわかった。いや、みんな本当にすげえなと思った。完成した作品は愛着も半端ないものだと思う。次の2月に神戸で開催されるゲームマーケットまでには筆者も準備を整えて、今度こそは必ず出店者として参加したいと思っている。次回は出店者の立場から会場のレポートができれば幸いである。次回はみなさんと現場でお会いできることを楽しみにしている。(澤田)

2015年11月23日 21時55分

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