少女のノーベル平和賞受賞に「不覚にも涙が出た」と池上彰
毎年10月11日は、国連の「国際ガールズ・デー」であり、世界中の人々が「女の子の権利」を認識し、女の子のエンパワーメントを促進することを目的に国連総会にて定められた日である。今年もこの日、国連大学にて、「羽ばたけ! 世界の女の子」と題して、国連大学ビルにて国際ガールズ・デーイベントが開催された。
ウーマンパワーの代名詞ともいえる森星さんが世界の女の子の声の代弁者となる「Because I am a Girl エンジェル」として挨拶したり、ユースによるワークショップや交流会が開かれたほか、大学の前にはバザーも開かれ、ホールではメインイベントとして、映画『わたしはマララ』(12/11公開)の試写上映が行われ、トークセッションにジャーナリストの池上彰氏が招かれた。
『わたしはマララ』は、パキスタンに生まれ、タリバン政権下で女性教育の必要性を訴え、17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの素顔に迫った追跡ドキュメンタリー。美麗なカメラグラフィックと、ところどころに手書きアニメーションによる再現映像を交えた飽きさせない作りで、マララとその家族の人柄が伝わってくる温かい作品になっている。このイベントを象徴するかのようなシーンがある。マララの家には300年も前から家の家系図があったが、その家系図には男性の名前しか書かれていなかった。世界は男性だけで回っていたが、マララの父はその家系図にマララと書き足したのだった。
この映画を見た池上氏は、ノーベル平和賞の授賞式でまとめあげる構成を絶賛。「不覚にも涙が出てしまったが、回りの人も泣いていて安心した」とコメントしていた。池上氏は「昔は男性しか就職できなかった。女性は募集欄に”女性も可”という文字が書いてあるのを見つけなければいけなかった。”女性も可”には大抵但し書きがあって、”容姿端麗のこと”と書かれてあった」と40年前を振り返り、当時の日本がいかに男性社会であったかを語りつつ、今の日本もだいぶ女性社会になってきていることを話した。「海外の色々な施設を見ると”この施設は日本の支援によって建てられました”と書かれてあることがある。これは日本人としては嬉しいし、こういう活動の積み重ねが、日本の世界的な信頼を作り上げているのだと思うが、海外で活動している人の多くは若い女性ばかりで、男性は数人しかいなかった」とウーマンパワーの凄さを訴えた。
プラン・インドからはプリヤンカさんが来日し、インドでの活動の様子をスピーチした。池上氏はプリヤンカさんのことを「世界中にマララさんがいる。彼女はインドのマララさん」と讃えた。このほか、会場には塩村文夏議員など、男性優位とされる社会でウーマンパワーを発揮している著名人も多く訪れていた。