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最高の映画と映画人を決めるキネマ旬報ベスト・テン—2014年度は綾野剛、安藤サクラが受賞

2月7日(土)、文京区にて「2014年 第88回キネマ旬報ベスト・テン」の鑑賞会と表彰式が行われ、綾野剛、安藤サクラ、池松壮亮、小林聡美ら受賞者が編集長の手からトロフィーを受け取った。

キネマ旬報ベスト・テンは、大正時代から続く映画雑誌「キネマ旬報」誌が毎年発表しているもので、映画評論家・ライターらによって投票で選出される。88回という歴史は米国アカデミー賞の87回を1回上回る。受賞者に送られるトロフィーも高級感のある造形で、重さはなんと5kg。ダブル受賞したらダンベル体操ができそうだが、この重さでも実は米国アカデミー賞に勝っているのである。会場にはこのトロフィーがどれほど重たいのかを体験してもらうためのコーナーも設置されていた。

「キネ旬ベスト・テン」の愛称で親しまれているこの結果は、映画ファンの間では米国アカデミー賞の結果よりももっと重要だったりする。アート系の映画が1位に選ばれたり、一番ヒットした映画が圏外だったり、他の映画賞にはない、通好みの選出が好評である。なお、今年は映画評論家の故・品田雄吉氏が参加した最後のベスト・テンになった。

外国映画部門の作品賞は『ジャージー・ボーイズ』だった。ロックの殿堂入りを果たした実在のグループ、フォー・シーズンズについて描いた伝記的映画で、この作品で同賞常連のクリント・イーストウッドがまたも1位を制した。比較のために書くと、米国アカデミー賞を受賞した『それでも夜は明ける』が28位で、社会現象になった『アナと雪の女王』は70位だった。

日本映画部門の『そこのみにて光輝く』は圧倒的な強さでぶっちぎりの1位。2位の『0.5ミリ』を100点近く引き離した。点数が細かくはっきりとわかるのも「キネ旬ベスト・テン」の特徴である。表彰式には主演の綾野剛も出席。綾野剛みたさに、朝から並んで待っていたファンもいたという。綾野は「このままだと"『そこのみにて光輝く』が良かった"と言われて作品に敗北する気がするから、次回作に意欲を燃やすきっかけになった」とコメントしていた。

主演女優賞の安藤サクラは『0.5ミリ』と『百円の恋』の2本に出演したことが評価されての受賞。2作ともベスト・テン圏内に入った。一昨年は主演女優賞と助演女優賞をダブル受賞したが、今年も傑作に恵まれた。『0.5』ミリが姉・安藤桃子の監督作で、父・奥田瑛二の製作ということもあり、「表彰状に父の会社の名前が書いてあった」と喜んでいた。

受賞作品とベスト・テンの結果は以下の通り。

日本映画作品賞 『そこのみにて光輝く』
日本映画監督賞 呉美保『そこのみにて光輝く』
読者選出日本映画監督賞 呉美保『そこのみにて光輝く』
日本映画脚本賞 高田亮『そこのみにて光輝く』
主演女優賞 安藤サクラ『0.5ミリ』『百円の恋』
主演男優賞 綾野剛『そこのみにて光輝く』『白ゆき姫殺人事件』
助演女優賞 小林聡美『紙の月』
助演男優賞 池松壮亮『ぼくたちの家族』『海を感じる時』『紙の月』他
新人女優賞 門脇麦『愛の渦』『闇金ウシジマくん Part2』『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』
新人男優賞 東出昌大『寄生獣』『クローズEXPLODE』『アオハライド』他
文化映画作品賞 『鳥の道を越えて』(今井友樹監督)
外国映画作品賞 『ジャージー・ボーイズ』
外国映画監督賞 クリント・イーストウッド『ジャージー・ボーイズ』
読者選出外国映画監督賞 クリント・イーストウッド『ジャージー・ボーイズ』
キネマ旬報読者賞 細野晴臣

日本映画ベスト・テン
1位 そこのみにて光輝く
2位 0.5ミリ
3位 紙の月
4位 野のなななのか
5位 ぼくたちの家族
6位 小さいおうち
7位 私の男
8位 百円の恋
9位 水の声を聞く
10位 ニシノユキヒコの恋と冒険
10位 蜩ノ記

外国映画ベスト・テン
1位 ジャージー・ボーイズ
2位 6才のボクが、大人になるまで。
3位 罪の手ざわり
4位 エレニの帰郷
5位 ブルージャスミン
6位 インターステラー
7位 リアリティのダンス
8位 インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
9位 ウルフ・オブ・ウォールストリート
10位 ラッシュ/プライドと友情

2015年2月9日 01時54分

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