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古波津陽監督、福島ドキュメンタリー『1/10 Fukushimaをきいてみる』2作目完成

古波津陽監督による福島についてのドキュメンタリー連作シリーズ『1/10 Fukushimaをきいてみる』の2014年版が完成し、2014年の年末にサンモールスタジオで無料上映された。

福島出身の女優・佐藤みゆきが今の福島の人々にインタビューしていくシリーズ。2013年に始まり本作で2作目に突入した。2013年には「言われなくても僕らは勝手に作り続ける」とアピールしていたが、有言実行し、2014年版が完成した。

上映時間は1作目よりも短くなり、1時間程度に短縮された。「無料上映で上映することだけは最後の最後まで守り続けたい」という古波津監督。無料で上映が可能な会場の場合、その多くはスペースが狭かったり、パイプ椅子席だったりするから、年配のお客さんのことも考慮して上映時間を短くしているわけだ。しかし、内容がその分薄くなったというのではない。1作目と同等のボリュームを1時間に凝縮させているのだ。

作中、震災についての言及は当然ある。しかし、これは福島に生きる、今の人々を、ありのままに、たんたんと捉え続けた作品。よって、押し付け的なメッセージや意見・主張みたいなものはなく、ありのままに福島の人々を見て、まさにありのままに映像に映っているものを感じてもらえる作品になっている。無論、涙を誘ったものではないし、おじちゃんおばちゃん若者たちの平凡な日常がそこに映っている。

これは2作目だが、タイトルは『1/10』で据え置きとなった。『2/10』、『3/10』・・・とカウントアップしていくアイデアをボツにした理由について古波津監督はこう語る。「2/10、3/10とあがっていって、10/10になったとき、そこで復興が終わったり、何かを達成するわけではない。その意味もあるから2作目からも1/10で統一させることになった」。タイトルは『2014年版』のように年で区別することになった。

この映画、一般興行はしない。しかし、監督は呼ばれればどこにでも上映のために駆けつける意気込みである。ただし条件は無料で上映することである。募金箱もあるが、募金は強制ではない。募金は取材のための足代に使って行くとのことだ。

映画職人としての監督の顔というよりも、映画趣味人として、純粋に伝えたい映画を作りたいという思いで、自由な作風で自主制作映画の大作を作り続けている感じがする。

1作目と比べてみると、たしかにその風景が違って見える。ゆったりではあるが、10年間を通して、これから変わっていく福島がそこに映し出されていくことだろう。福島をこそ描いているが、この時代の移り変わりは日本そのものの縮図となるに違いない。(澤田)

2015年1月13日 17時36分

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