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台湾映画『天空からの招待状』、空中撮影に魅せられて

12月20日(土)、シネマート新宿にて、台湾映画『天空からの招待状』の初日舞台挨拶が行われ、チー・ポーリン監督(49)とプロデューサーのエイミー・ツォン(40)が登壇した。花束ゲストには台湾出身のジュディ・オング(64)が駆けつけた。

この映画は、台湾映画史上、ドキュメンタリーとして興行成績の最高記録を打ち立てた作品だ。撮影期間は3年。空撮で台湾をありのままに捉えた作品で、ただ映像が美しいだけではなく、様々な環境問題をもあぶり出しており、いわゆるネイチャー系のドキュメンタリー映画とは一線を画した内容だ。オーケストラによる勇壮なBGMと、西島秀俊によるナレーションもぐいぐいと引き込まれる。

この映画を3回見たというジュディ・オングは、「原題は”台湾を見る”という意味。これは台湾そのものを映していて、それは地球そのものの姿でもある。最後には涙が止まらなかった」と絶賛。とにかく空撮で魅せるスケール感は息を呑むばかりだが、「DVDでは良さはわからない。スクリーンで見てこその映画」とコメントしていた。その一方、「私は台湾人なので、この映画の台湾なまりの北京語のナレーションが心地好かった」とも。舞台挨拶では監督と北京語で会話したり、監督の持っているカメラをいたずらぽく触ったり、普段テレビドラマでは見られないジュディ・オングの姿も見られた。

わざわざ日本に舞台挨拶のために来てくれた監督だが、この監督、もともとは政府機関「国道新建工程局」の航空写真を撮っていた国家公務員だった。空から写真を撮っているうちに、これを映画で台湾に示さねばならないという使命感にかられて、定年退職を目前に仕事をやめてしまったのだからすごい。あと2年で退職金ももらえたのに、ある意味大きな賭けに出たわけだ。最初は借金も多く、スポンサーもつかずに苦労続きで白髪が急に増えたそうだが、台湾映画界で最も著名なホウ・シャオシェンは、その熱意に心を打たれて製作総指揮を買って出、製作費はドキュメンタリー映画としては破格の3億円を突破、台湾で2013年の興収3位になる7億円の大ヒットを飛ばした。無論ドキュメンタリー映画としては史上最高額である。現在も台湾では公開中でその記録をのばし続けている。

そして、こうして日本でも無事に公開初日を迎えることができ、「台湾版は台湾の有名な人がナレーションをやっていますが、おじさんなんです。日本版はいわゆる”イケメン”の西島秀俊さんにナレーションを入れてもらえて嬉しいです。日本語はわかりませんが、暖かい誠実さを受け取りました」とチー監督はご機嫌の表情であった。(澤田)

2014年12月22日 03時41分

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