『フューリー』は戦車と戦車が激しく火花を散らす男児向けヒロイック映画だ
11月15日(土)、有楽町マリオンで行われた、戦争映画『フューリー』のジャパンプレミアを取材して来た。イベントには主演のブラッド・ピット(50)とローガン・ラーマン(22)が出席。マリオンの1階の吹き抜けスペースを利用してのイベントで、通行人が押し掛けて一時イベントスペースが押し倒れそうになったほど、異様な盛り上がりを見せていた。
この映画、「男の子映画」である。いやー、こういう映画をずっと見たかったのよね。戦争に命をかける兵士たちの勇姿を、ド派手なアクションで描いた作品。いわゆる反戦映画のようなダークなテーマのものではなく、ワイルドな戦争アクションエンタテインメントになっていることを高く評価したい。死んで行く男たちも、いかにもかっこよく死んで行く。まあ要するにSF映画で正義の味方と宇宙人がガチで戦ってるような、そんな感覚で見ていいと思う。この映画で戦争の是非を問うのは見当違い。まずはその娯楽性に酔いしれて欲しいものである。
ブラッド・ピットらが演じるのは、シャーマン戦車に乗り込んだ兵士たち。シャーマン戦車は5人で操縦する。一人でも欠けるとそれは戦車と言わない。中ではそれぞれが自分の役割を一生懸命こなしながら操縦している。もうね、このコックピットの映像を見てるだけで男の子なら拳を握って興奮せずにはいられないと思うんだよね。その戦車の戦車長を演じているのがブラピで、こいつがまた絵に描いたようにいかにもボスっぽい奴で、この辺もどこぞの宇宙戦艦の船長を見ているような気分。でもってローガン・ラーマンがいわゆるヒーロー的な立ち位置で出て来て、他の4人と運命を共にして行くというストーリー。
野戦シーンもあったり、市街戦のシーンもあったり、戦争映画ドッカンバッカンの見せ場の要所をちゃんと抑えてある作りも感心。そしてなんといっても、魅力はシャーマン戦車とティーガー戦車の対決。このド迫力。戦車のプラモデルを作った男なら、もうキャタピラの動きを見ているだけでも胸バクバク興奮せずにいられない。撃て!と言って砲撃するとき、思わず力んでしまう。いやー、ブラピ、全然流れ弾を食らわない無敵ぶり。たった5人で300人の兵士を相手に戦うなんて、男のロマン丸出しで泣けてくる。たまらないぜ。ここまで戦車の対決をリアルに描いた映画は、過去なかったと思う。その意味では、戦争映画史に、あらたな1ページを刻み込んだのではないかと思う。
舞台挨拶では、ローガン・ラーマンが喋ってるところで、ブラピはいびきをかいて何度も寝たふりをして盛り上げていた。ブラピは本作はエグゼクティブプロデューサーもやっているとのことだけど、それを聞いて、よくあれだけスケールのでかい戦争映画を作ったものだと驚いた。役者としてもすごいけど、それ以上に、ブラピのプロデューサーとしての腕に感嘆せざるを得ないわけで。
僕の隣で見ていた女性は、全然良さがわからなかったって言ってたけど、これは「男の子映画」なので無理はあるまい。しかし、男の子なら、これに何も感じないわけがない。おすすめの一本です。『フューリー』は、11月28日(金)、TOHOシネマズ日劇他でロードショー。(文・写真:澤田英繁)