『雨に唄えば』のロンドンミュージカル版が日本上陸
11月1日(土)から11月24日(月/祝)まで、東急シアターオーブで行われたアダム・クーパー主演のミュージカル『雨に唄えば』に行って来た。2ヶ月間のサイトリニューアル作業の関係で、残念ながら公演終了後の記事掲載はとなってしまったが、こういう公演があったということで紹介しておきたい作品である。
ミュージカルと聞いて、どんな作品を思い浮かべるだろうか。『ウエスト・サイド物語』、それも確かだけど、僕なら『雨に唄えば』を思い浮かべる。ハリウッド黄金時代のMGMミュージカルの代表作中の代表作である。『雨に唄えば』は、他のミュージカル映画とは違って、映画の世界オリジナルのミュージカルだったことに意義があった。そのミュージカル映画が、ロンドンで舞台となって現代によみがえった。そのステージが、日本で実現したのである。
演出家のジョナサン・チャーチとアダム・クーパーが囲み取材に応じた。ジョナサン・チャーチはこの作品について語るとき、『アバター』を引き合いに出してこう語っていた。「『アバター』は最初の3D長編映画で、これが成功するかどうか、公開時には映画作家のみんながその結果を固唾をのんで見守っていたのです。それがヒットしたことで、映画の歴史は変わりました。『雨に唄えば』は映画の世界で、サイレントからトーキーに変わる歴史を描いています」。そういう映画の歴史の移り変わりを、映画ではなく、舞台で描くことに、ジョナサン・チャーチの意気込みがあったということである。
舞台版も、ほぼ映画板と同じストーリー展開で進んで行く。囲み取材ではこてこてのイギリス英語を話していたアダム・クーパーも舞台ではアメリカ英語に切り替えて、見事なダンスを披露してくれた。脇役もなかなかで、監督役とプロデューサー役が、これまたそれっぽい人が出て来てニヤリとさせられる。
そして最大の見せ場は雨のシーン。実際に舞台上に雨を降らせている。どこぞの劇評では「1トン以上水を使っている」と書かれてあったけど、いやいや、そんなもんじゃないって、実際は12トンの水を使っているとのこと。そしてアダム・クーパーもわざと観客に向かって水を蹴ってかけてくれるサービス付き。アダム・クーパーも事前に「ぜひ濡れてください」とPRしていた。『雨に唄えば』、これは陽気に明るく楽しめるミュージカルであった。(澤田)