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チャウ・シンチー監督、ハリウッド版『ドラゴンボール』に対するリベンジか?

7月22日(火)、六本木にて、中国映画『西遊記~はじまりのはじまり~』の記者会見が行われ、チャウ・シンチー監督が登壇した。

本作は、三蔵法師が孫悟空・沙悟浄・猪八戒と出会うまでを描いた作品。日本人にもなじみが深い西遊記の世界を本家中国が壮大なスケールで映像化したわけだが、中国では大ヒットを飛ばし、北京語作品の映画としては、過去最高の興行記録を打ち立てている。

この映画を日本でも公開しようと、日活と東宝東和がタッグを組み、新レーベル「GOLDEN ASIA」が発足した。本作を第1弾とし、今後もインド映画『チャンス』など、続々とアジアの話題作を配給していく予定で、これを日本におけるアジア映画最強のレーベルにすべく、その歴史的第一歩を歩み始めたところだ。チャウ・シンチーは、日活社長、東宝東和社長とがっちり握手を交わし、その第一弾作品に『西遊記~はじまりのはじまり~』が選ばれたことについて「なかなかお目が高いですね」と満悦の表情を見せていた。

『西遊記~はじまりのはじまり~』についてだが、これまでの『少林サッカー』や『カンフーハッスル』の流れをくみつつ、ガツンと勢いのあるカンフー要素があり、スケールがとんでもなくでっかくてオーバーで、チャウ・シンチーやっとるわいと嬉しくなる。妖怪ハンター役を演じたアジア屈指の人気女優スー・チーの可愛げのある演技も見どころである。本作にはチャウ・シンチーは出演していないが、会見では「主役以外演じたくないから」なんて冗談で言ってたけど、その奥には、一作家という立場から中国の有名な物語に向き合っていきたいという姿勢が感じられた。

ところで、この映画、どこか『ドラゴンボール』に似ている。『ドラゴンボール』が西遊記を元にしているというのもあるけれど、ところどころに影響が見られるのだ。記者会見でこの影響について訊いてみたが、思った通り、『ドラゴンボール』の影響を受けているのだと明言してくれた。特に孫悟空のキャラクター描写で参考になっているという。

数年前にハリウッドの実写映画で『ドラゴンボール EVOLUTION』という映画があった。これについては何も触れなかったが、実はこれをプロデュースしていたのがチャウ・シンチーその人である。しかし、チャウ・シンチー自身はその作品の出来に全く納得していなかったといい、「スタジオの意向で自分の作りたい形にできなかった」と不満をもらしていたという。当時、武道館で行われたワールドプレミアにチャウ・シンチーが出席しなかったことも問題視されていた。

極端に言えば、『西遊記~はじまりのはじまり~』は、その不満をぶつけて作り直した作品とも言える。チャウ・シンチーが自分で自分の作りたいように自由に作った開放感が本作にはある。ハリウッド版『ドラゴンボール』は僕は本当はこんな風に作りたかったんだよという思いが伝わってくるような圧倒的迫力にあふれたクライマックスシーンに刮目あれだ。

『西遊記~はじまりのはじまり~』は、11月公開予定。

2014年7月27日 11時55分

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