ブンロク

『魔女の宅急便』小芝風花インタビュー

『魔女の宅急便』主演の小芝風花さん
独占インタビュー

宮崎駿が1989年に映画化して大ヒットを記録したアニメ映画の名作『魔女の宅急便』が、25年の時を経て、初めて実写映画化された。あまりにも有名な作品の実写映画化は、ある意味無謀ともいえる挑戦であった。難役ともいえるキキ役に大抜擢されたのは、これが映画初主演となる16歳の小芝風花さんだ。彼女がどのような気持ちで本作に臨んだのか、インタビューしてみた。

--この映画のオーディションを受けたきっかけは?

事務所からオーディションの話を聞いて、受けに行きました。聞いた時は「実写化するの!?」という驚きがあったのを覚えています。

--オーディションでは何を訊かれた?

まず原作を知ってるか訊かれました。そのときは「失礼なんですけど、まだ原作を読んだことがなくて、アニメーションの方は見ていました。」、という風に答えました。それと、あらかじめ台本が用意されていたので、その演技審査もありました。

--受かったときの気持ちは?

すっごい嬉しかったです。本当に合格できると思ってなかったので。アニメーションのイメージも強いし、私じゃないだろうなってずっと思っていたので、本当に号泣しました。

--電話で連絡を受けたの?

そのときは母と二人で事務所に呼ばれて、「合格したよ」って教えてもらいました。その場で泣いて、母も横で泣きながら、「あんたほんま良かったな、がんばりや」って言ってくれました。

--キキ役をやって生活で変わったことは?

1ヶ月ぐらいの小豆島と岡山ロケのときは、キキの気持ちに近づこうと思って、家族とも友達とも連絡をたってたんです。今まで長期で家族と離れたことがなかったので、そのときはすっごい寂しかったです。家族を大事にしなきゃって思いました。帰ってきてからしばらく仲良くしてたんですけど、ちょっとまた反抗とかが始まってしまいまして、そこは気をつけなきゃなって思っているところです。

--実際の年齢と映画の役の年齢が違うことはどう思った?

監督は16歳の小芝が13歳のキキを演じても全然違和感なく行けると思ってくださったらしいです。私の中では、どうしようとか、アニメーションのイメージが強いからここはこういう風に言った方がいいのかな、ここはこういう風に動いた方がいいのかなとずっと思っていました。でも監督が「そういうイメージとかあると思うけど、今回の映画は小芝がキキなんだから、そのままでいてくれ」っておっしゃってくれました。ほうきで飛ぶ練習とか、筋肉をつけるために木刀の素振りとかしてたんですけど、13歳だからという役作りはしてなかったです。監督も作ってやるんじゃなく、「等身大の小芝で」と言ってくださったので、そこは意識していました。

--一番最初に撮影したシーンは?

本当に最初のシーンです。キキの実家で独り立ちするために荷造りしているところ。全部が全部じゃないんですけど、だいたい順番通りに撮ってくださったので、最初は宮沢さんと一緒にシーンが始まって、最後の最後に本編の最後のシーンを撮っていただきました。

--宮沢りえさんはどうでした?

すっごい綺麗で、気さくな方でした。私がキキの幼少期役の女の子と一緒にいたら、一緒に話してくださったりとかしてくれましたし、そのあと小豆島のロケだったので、「小豆島のロケもがんばってね」って、キキと一緒に送り出して下さいました。

--空飛ぶシーンって吊ってるんだよね?

はい。高いところがもともと好きなので楽しかったです。勢い良く飛び出していくシーンとかはすっごい気持ち良かったです。ピューって行くのは風もあるし、ジェットコースターとか大好きなので、そんな感じですごく楽しかったです。でも、体がきつい時もありました。ワイヤーがあたってあざだらけになってしまったり、ずっと当たっていると気持ち悪くなったりしたんです。

--グリーンスクリーンの撮影はどうだった?

危ないから、いざというときに下から支えてくれるアクションの方がたくさんいて下さったんです。全身グリーンタイツを着て、最高多いときで7人くらいグリーンマンになっていました。その状態がめっちゃ面白かったです。でもみなさん私の為にいて下っていたので、笑わないようにしていました。

--町のセットに来た感じは?

そりゃキキ、このパン屋さん行ってみたくなるっていうぐらいすごい可愛かったです。小豆島のロケのときはパン屋さんのロケが主だったんですけど、山の上の方にあったので、緑に囲まれて海も見えるし町も見える場所でした。風車小屋はもともと住んでいる方がいらっしゃって、ダッチカフェというカフェを経営しているお宅なんですけど、お家を借りて、その横に美術さんが一から作ってくれたパン屋さんがありました。全部パンが本物なんです。一応くさらないような薬は入っているらしいんですけど、全部職人さんが作ってくださったらしくて、良い香りも充満してましたし、すっごい可愛かったです。

--居眠りして頬にあとがついてるシーンがあったね

黒電話の線があるじゃないですか。あの上に寝てたら監督が頭をギューって押して、すっごい痛くて。最初は自分でやってみたんですけど、あとがつかなかったんです。そしたら監督が2・30秒くらいずーっと押してたらすごいあとがついて、そのままの体制でよーいスタートってなって、そのまんま使われました。しかもしばらくあとがとれなくて「わあ次の撮影どうしよう」みたいな感じくらいくっきりついてたんですよ。

--撮影してて楽しいなと思ったことは?

現場がすごく明るかったです。監督も面白いことをすごくよく言うんです。しょうもないことばかりでひとつひとつは覚えてないんですけど。私の揚げ足をとったりとか、いじわるをしたり、子供っぽいところもあるし、いたずらもするしで、そういうひとつひとつがみんなの雰囲気を和ませてくれるというか。スタッフの方も共演者の方も私がちょっと言ったら乗っかってくれるような人が多かったので、本当に毎日が楽しかったです。私がキキでいいのかと悩んだりしたこともあったんですけど、終わって振り返ってみると、あー、楽しかったな、もう終わっちゃったんだっていう気持ちの方がすごく強くなったことにまたびっくりという感じです。あー、あのとき撮影2ヶ月長いなと思っていたけど、それもあっという間で。作品自体もすごく明るい楽しい夢の詰まった作品なので、そういう現場の楽しい雰囲気とかも映ってたらいいなと思いました。

--この映画の良いところは何だと思う?

実写だと感情が、リアルに色々伝わると思うんです。人の気持ちだったり痛みだったり重みみたいなものが、すごく共感できる部分があると思います。自分と置き換えてみたりできるような、そんな作品なんじゃないかなって思ってます。

現場で張り切って演技している小芝さんの光景が目に浮かぶようだ。映画について色々きいたところで、今度は小芝さんの私生活にも興味が湧いてきたので、もっとプライベートな部分について迫ってみた。

--休日は何をしてるの?

普段は家でごろごろしながら漫画を読んでるか、家族で買い物に行ってます。車でちょっと行ったり、電車で原宿とか行ってお洋服見たり、ご飯食べたりしています。

--趣味は?

今どうしようかと思ってるんですよね。新しい趣味を見つけたいんです。一眼レフカメラを家族兼用で母が買ってくれたんですけど、いまいち使い方がわからなくて、カメラマンさんと仲良くなれたら教えて欲しいなって思いながら、まだできていないんです。写真がうまく撮れたら楽しいと思うので、これから趣味にしていきたいです。

--好きな映画は?

洋画だと『トワイライト』とか好きです。私吸血鬼じゃなくてオオカミ族の方がすっごい好きで、「めっちゃかっこいい! なんでこっちに行かないの~!」って思ってました。オオカミとか吸血鬼とか、強いとか不死身だとか、バトル系、戦い系の作品も好きだし、自分の好きな動物がヒョウとかライオンとか猛獣系なのでオオカミが出てるとかっこいいって思っちゃう。こういう人本当にいないかなって思ってみてました。

--清水監督はホラーのイメージだけど、ホラーは好き?

ホラーはよく見てました。小さい頃から家族みんな大好きだったので。監督が誰かは意識せずに『呪怨』とかも小さいときから見てて、「今回清水監督だよ」って教えてもらって調べたら、「これ全部監督なんや!」「『魔女の宅急便』ってファンタジーだよね」って家族みんなで驚きました。監督の話を聞いてると、監督は「ホラーもファンタジーの一部で、ファンタジーの中の一部を凝縮したのがホラーだ」っておっしゃっていたときに、たしかにそうだなとも思いました。まったく今回の作品と別物に見られがちだけど、大きいくくりとしてはファンタジーっていう部分では一緒なんだなって。

--『魔女の宅急便』にもホラーの要素は期待してた?

いやー、ホラーまでは行かないんですけど、ちょっとドキッとするような監督っぽいところはあるので、ぜひそこも楽しみにしていただけたら。

--好きな女優さんは?

『ハリー・ポッター』のエマ・ワトソンさん。すごい好きです。とても綺麗ですよね。

--今回の役はハーマイオニーと結構似てる役だね。

魔女というか魔法使いというか、そういう部分では似てるんですけど、でもキキはひとつの魔法しか使えないので、似てるようで違うような作品ですよね。

--猫は飼ってるの?

飼ってないんですが、おばあちゃんのうちにキャバリアのワンちゃんがいます。大阪にいるときはゴールデンレトリバーとミニチュア・ダックスフント、その前はダルメシアン、その前はマルチーズを飼ってました。猫も大好きなんですけど、ワンちゃんが多いですね。

最後まで笑顔でインタビューに応じてくれた小芝さん。明るくて元気で、まっすぐな性格で、とても好感が持てる女優さんだった。映画デビューとしてはこれ以上ない素晴らしい役をもらったと思う。これからの活躍に期待したい。

『魔女の宅急便』は、現在公開中。(取材・澤田英繁)

2014年3月6日 21時23分

新着記事

KIYOMASA君
KIYOMASA君
(ブンロク公式キャラクター)