スタジオジブリを題材にした映画『夢と狂気の王国』公開
11月16日(土)0:00、新宿バルト9にて『夢と狂気の王国』(公開中)の世界最速上映・初日舞台挨拶が行われ、砂田麻美監督と、製作ドワンゴの川上量生プロデューサーらが登壇した。また、急きょ鈴木敏夫プロデューサーが駆けつけて舞台挨拶に登場するサプライズもあった。
『夢と狂気の王国』は、『風立ちぬ』を手がける宮崎駿を中心にスタジオジブリに密着した映画。スタジオジブリの普段の仕事の様子がありありと見えてくる内容であり、『風立ちぬ』の声優を誰にするかを決定する打ち合わせの現場にもカメラが入っているところは「こんなのまで撮っていたのか」という感動すら覚える。宮崎駿が引退会見に臨む直前の控え室の様子は必見である。高畑勲が『かぐや姫の物語』に完璧主義の姿勢で打ち込んでいる様子も少しだけかいま見られる。
鈴木プロデューサーは、砂田監督に「麻美ちゃんがずっとスタジオジブリにいて、仕事の邪魔ばかりしてたんだ。迷惑かけてる自覚あるのかな。キャッチコピーを”ジブリにしのび込んだマミちゃんの冒険。”にしたのも、この映画の責任は全部麻美ちゃんのせいにするためです」と言って笑わせていた。
上映会とは別に、上映前に川上プロデューサーと、Production I.Gの石井朋彦プロデューサー、スタジオ地図の齋藤優一郎プロデューサーとの75分にも及ぶトークショーも行われ、主に高畑勲監督のスタジオジブリ最新作『かぐや姫の物語』の魅力などについて語り合った。石井は「あれだけのものが手描きで動いていることに感動する。『かぐや姫の物語』のワンカットは、普通のテレビアニメの1話分に使う枚数に等しい。高畑監督は本当にすごい人。この映画を見終わったとき、高畑監督は必ず次の作品も作ってくれると思った。高畑監督が引退するとは微塵も感じなかった」とコメントしていた。
川上プロデューサーは『夢と狂気の王国』のポスターは宮崎駿が作ったものだと言い、「だから宮崎さんが笑っていて高畑さんが怒ってる写真なんです。王の上の三つの点は宮崎さんと鈴木さんと高畑さんの3人を象徴しているのですが、誰が王か?ってところを出してみました」とコメントしていた。
もともと『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』は同日公開される予定だったが、宮崎駿が時間通りに作る人で高畑勲が徹底的に時間をかける人という対極の関係にあったため、『かぐや姫の物語』の上映が遅れた理由が『夢と狂気の王国』でも描かれている。結果的に『風立ちぬ』の公開から大ヒットを経て、宮崎駿の引退宣言、引退会見と来て、この映画を『かぐや姫の物語』の一週間前に上映することになったのは、話題作りとしては、できすぎるくらいの絶妙のタイミングになった。
なお、この日のイベントでは、『パンダコパンダ』、『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』、『夢と狂気の王国』、『風立ちぬ』の4本がオールナイトで上映された。