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『タイガーマスク』ウエンツ瑛士は現場では真面目だった

11月9日(土)、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて映画『タイガーマスク』の初日舞台挨拶が行われ、主演のウエンツ瑛士、ヒロイン役の夏菜、ミスターX役の哀川翔をはじめ、釈由美子、良知真次、勝信、平野綾、落合賢監督、スペシャルゲストに主題歌を担当したAAAから浦田直也、伊藤千晃、さらに客席にいた三池崇史監督が飛び入りで登場した。

『タイガーマスク』、この公開については、筆者は特別の思いがある。この映画を監督した落合賢監督は、本作がデビュー作であるが、突然出て来たニューカマーという印象ではなく、やっとここまで来たかという感慨深いものがあった。というのも、落合監督は、それ以前にもたくさんの短編映画を撮っていて、国内外で名誉ある賞を受賞し、日本の短編映画界を引っ張って来た人物の一人だったからである。実は筆者は過去4度も落合監督を取材している。4年前にショートショートフィルムフェスティバルで『ハーフケニス』がジャパン部門の最優秀賞を制覇したとき、トロフィを受け取る落合監督のその堂々たる佇まいから、将来日本の映画界で活躍してくれる予感がしたものである。それから4年が経ち、今年のショートショートフィルムフェスティバルに長編顔負けの短編映画『消しゴム屋』を引っさげて登場。『タイガーマスク』で長編デビューすることがセレモニー中に大きく発表され、別所哲也も我が事のように興奮気味に熱く語っていたのを覚えている。それから半年、ついに完成して、こうして公開初日を無事に迎えたのである。短編映画から始まって監督として巣立って行く流れは、ルネ・クレールやフランソワ・トリュフォーなど、アーティストとして評価が高い巨匠たちの伝統を受け継いでいるので、落合監督の今後の活躍に期待がかかる。

さて、本作だが、主演はウエンツ瑛士である。「僕、チャラいっすよ」と自分で言うくらい、いつも舞台挨拶では冗談を言ってその場を盛り上げようとする姿が健気な印象さえするが、この日も開口一番から「哀川さん、さっきの舞台挨拶に遅刻しちゃったんですよ」とふざけて笑わせ、哀川も「今ここで言うことじゃないだろ」と乗って来て、まだ全員の自己紹介が終わってないうちから、いきなり漫才みたいなものが始まった。「毎日洞窟の中だったので、人間、太陽がないとだめだなと、つくづく思いました」、「僕、花粉症なんで、伊達直人の最大の敵はブタクサです。多分この辺が明日の新聞の記事になると思います」とユニークなコメントを連発する愉快な舞台挨拶になったが、一方で哀川は「こうやって今はチャラいですけど、普段は本当に何も喋らないんですよ。演技してるときも真面目すぎでした。こうやってふざけた会話するのは今が初めてなんですよ」とウエンツの意外な裏の姿も明かしていた。

夏菜は、ウエンツとのエピソードについて、「控え室に<きのこの山>が置いてあって、私は<たけのこの里>の方が好きと言ったら、いつの間にか<きのこの山>の中身が<たけのこの里>に変わってたんです。そんな優しいウエンツさんだったので、とても良い雰囲気で撮影できました」とコメントしていた。一方、釈は「私にはウエンツさん全然優しくなくて、そんな素敵なエピソードはなかったです。ふん」とすねてしまい、ウエンツは「僕は箱の中をこっそり変える要員じゃないですからね」と言って笑いを誘っていた。

フォトセッションでは、タイガーにカメラマンから「笑って」と要求されて、ウエンツがタイガーを指差して「こいつ笑えないから」とツッコミを入れる微笑ましい一幕もあった。

『タイガーマスク』は全国公開中。(澤田英繁)

2013年11月11日 10時31分

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