中国の人気女優ヴィッキー・チャオが監督業に進出
10月24日(木)、六本木にて行われた東京国際映画祭内で、中国の人気女優ヴィッキー・チャオが初監督した『So Young』が上映され、ヴィッキー・チャオが上映後のティーチ・インに出席。観客からの質問に答えた。
ヴィッキーは、この作品を作った経緯について、「映画に対する興味は尽きなくて、女優としてでなく、監督として映画を作ってみたいと思っていました」とコメント、実際に撮ってみたところ、すっかり監督という仕事に夢中になったとのことだ。
「俳優という仕事も体力を使いますが、監督という仕事も非常に体力を使いますね。俳優にはプレッシャーがあるのです。スタッフのみんなの努力は、俳優の演技にかかっているわけですから。しかし、監督という仕事は、本当に病み付きになる仕事だと思いました。これが第一作ですが、これからも撮りたいと思いました」とコメント。
実はこの作品は、映画学校で卒業作品として撮ったものだという。「先生は99点をつけてくれました。これは先生がつけた今までで最高の点数だそうです。一般公開されている映画の監督と比べての点数ではなく、学生としてつけてくれた点数ですが」とコメント。さらに「中国の注意力は経済に向かっていて、良い仕事につくことにエネルギーを注いでいる気がします。若い人が生活のために努力するためにエネルギーを注いでいて、青春らしい青春を送っていないのです。私の映画を見た人が、自分も大学時代に熱い恋愛をすれば良かった、青春を無駄にしたと言ってくれた人も多かったです」とコメントしていた。
女優として今まで活躍してきたヴィッキーが、他の女優を演出したということについては、苦労もあったようだ。「監督をして思ったんですけど、私は真面目な女優じゃなかったなと思ったんです。本当に今回は監督として何度も何度も脚本を読みまして、自分の中で登場人物が生きた人間になりました。どのシーンも私の中にくっきりキャラクター像がありましたので、4人にそれをしっかり伝えましたが、そのうち3人は歌手で、もう一人はまったく芝居をしたことがなかったので、大変でした」とコメント。また、「私は人の意見を聞きませんでした。人の意見はありすぎるので、かえって私の意見を乱されると思ったのです。創作の過程で一番話し合ったのは脚本家とプロデューサーのスタンリー・クワンでした。二人とは長い付き合いの友達なんですね。私を二人が支持してくれたことが自信につながりました。私は70年代生まれの女優で、脚本家は60年代生まれ、プロデューサーは50年代生まれです」とコメントしていた。
この日の上映でも日本の観客には大方好評で、早くも次回作の要望があったが、ヴィッキーは「次は女優業に戻って香港のスタンリー・クワン監督の作品に出ます。スタンリー・クワンは私の映画でもプロデューサーをやってくれました。次回作に私が出演するので、私のことを知りたいという目的もあってプロデューサーをやってくれたのでしょう。でも監督の仕事も大好きになったので、監督としても絶対次を撮ります。青春ものはもう撮って満足したので、次は違う作品、もっとアート寄りのものになると思います。ただ、映画というものはみんなに愛されないといけないんですよね。売れなければ私は次回作を作らせてもらえないので」と、監督の仕事に対する意欲は女優以上とも受け取られるコメントもあり、女優としてよりも、監督として映画を評価されることの方が自分を認められているようで嬉しいと、照れ笑いする一面も。一時的な興味ではなく、今後は女優業と監督業を並行して活動していく方針を明らかにした。
ヴィッキー・チャオの熱心なファンも多く来ていて、ミーハーみたいにキャーキャー言いながら質問する観客もいて、質問の最後に「後で写真を撮ってもいいですか!」と言う人までいて、ヴィッキーがにっこり笑って「そっとよ」と答えたり、ミニスカートで椅子に腰掛けて男性記者陣をドッキリさせるなど、女優ヴィッキーとしての存在感も際立っていたことは言うまでもない。(文・写真:澤田英繁)