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スペイン映画『アイム・ソー・エキサイテッド!』キャストが東京オリンピック決定を恨み節たっぷりに祝福

去る10月9日(水)、新宿バルト9にて、第10回ラテンビート映画祭オープニングセレモニーが開催され、ペドロ・アルモドバル監督の最新作『アイム・ソー・エキサイテッド!』(2014年1月25日土曜日公開)が映画祭オープニング作品として上映された。上映後にはキャストのブランカ・スアレスとハビエル・カマラが登場してティーチインを行った。

『アイム・ソー・エキサイテッド!』は、飛行機の機内を舞台に、3人のオネエ乗務員と曲者だからけの乗客たちの騒動を描くワンシチュエーション・コメディ。

スペインとラテンアメリカについての映画を上映するラテンビート映画祭は、今年で10周年。奇しくも、第1回のオープニングに上映されたのが、同じペドロ・アルモドバル監督の『バッド・エデュケーション』だったということで、映画祭プロデューサーのアルベルト・カレロ・ルゴは10周年という節目の年にこうして再び世界で最も著名なスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の作品を紹介できることに興奮している様子で、「10年経ってもご本人にはご来日いただけないんですけど、常に彼が映画業界で働いていまして、本日上映するような素晴らしい映画を作ること以外になかなか時間がないのです」とエスプリの利いた最高の言葉でアルモドバル監督を讃えていた。

黒いドレスで登壇したブランカ・スアレスは、いかにもラテン美女といった感じの彫りの深い綺麗な女優さんで、今スペインでもめきめき人気急上昇中の人気女優だ。ブランカは終始満面の笑顔でトークに答えていた。

劇中チャーミングなオカマ役を演じているハビエルは、吸い込まれるような黒い瞳が魅力的で、はげ上がった頭をなでなでしながら「僕はいつもカツラをかぶらされるんだ。はげてるからね。アドモドバル監督はきっと僕があまりタイプじゃないんだよ」と言って笑わせ、カメラマンのリクエストのひとつひとつに陽気に応じるなど、終始ご機嫌だった。

2人とも初来日ということで、以前から日本に来ることを切望していたというが、監督からは「寿司をたっぷり食ってこい。それから相撲と歌舞伎を見てこい。見て感じたものを全部教えろ」と宿題をもらってきたという。

日本についてハビエルは『アルプスの少女ハイジ』のテーマ曲を日本語で歌ったり、日本好きをアピールしていたが、「この映画は特に生きるという感情、生きることによって感じる喜びを扱った映画となっています。それは大島渚監督の『愛のコリーダ』でも扱ったようなテーマなので、日本の皆さんにも共感していただけるんじゃないでしょうか。しかしこの映画はもっと面白いです。大島渚の映画はどうしても悲しい感じになってしまいますが、私たちの映画はとにかく楽しいものです」とお国を褒めるときにもジョークを忘れていなかった。さらに「オリンピックの開催地で、マドリッドを負かしていただいてありがとうございます。私たちは皆さんにこの映画を持って来ましたので、こう言いたいです。お・も・て・な・し(合掌)」と、滝川クリステルの東京オリンピック招致の最終スピーチを真似してみせ、クリステルの「お・も・て・な・し」が東京オリンピック決定の決め手となったこと、日本だけでなくスペインでもこの流行語の波紋が広がっていることをうかがわせた。

ハビエルは、役作りの秘訣について質問を受けると、「3人のスチュワード役で相談しまして、3人で1人の人物を演じるように決めました。まるで三つの頭をもつ怪物のように。僕はどんなにホモっぽくみえてもいいので、自分をかっこよく撮るように監督にいいました。それが秘訣です」とコメントしていた。

アルモドバル監督の演出については、「2ヶ月の準備期間の間にはアドリブも入れたりするのですが、最終的に撮影するときにはすべてシナリオで完成しています。アドモドバルの書くシナリオがもともと面白いので、アドリブをする必要がなく、撮影している最中も笑いの絶えない現場でした。アルモドバル監督は、ルイス・ブニュエルなど様々な監督に影響を受けていますが、服・家具・色まで全部自分で完璧に設定しています。あるとき、ペドロが病室の色が気に入らないといいました。病室は薄緑色に塗られていたのですが、何か違う薄緑色にしたかったようですね。実は色を塗ったときには日が照ってなくて、撮影のときには日が照っていたんですね。ペドロ自身の気持ちで同じ色でも違った色に見えてきます。だんだんストレスがたまってきて、ついにキレたこともあります。アーティストですので、ひとつひとつ病的なまでにこだわっているんですね」とコメントし、スペインの巨匠と一緒に仕事をしたことに対するプライドが感じられた。

また、ハビエルは「僕とブランカが一緒に来たから、君たちは僕らがカップルだと思ったんじゃないかな」といってブランカの腰に手をやってニンマリしたかと思うと「大丈夫だよ。スペイン人に言わせれば、僕とブランカがカップルになるなんてことは絶対に有り得ないことだから。なぜって、彼女はお姫様で、僕は王様ですから」と冗談を言う様子はまるで映画さながらだった。(澤田)

第10回ラテンビート映画祭は、その後も京都、横浜、大阪と場所を変えて11月10日(日)まで開催される。

2013年10月14日 21時55分

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