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『ただ、君を愛してる』上映イベントで新城毅彦監督が玉木宏を絶賛

10月4日(金)、新宿バルト9にて、ドリパスとデジタルハリウッド大学のコラボ企画で『ただ、君を愛してる』が上映され、新城毅彦監督による特別講座が開催された。

ドリパスとは、ユーザーが映画館で見たい映画のリクエストに応えるサービスである。WEBサイトで上映して欲しい映画のリクエストを募っており、ランキングの高い作品は直接権利元と上映交渉し、交渉が成立すればチケットを販売、そのチケットが一定数売れると映画館での上映が決定するという仕組みである。玉木宏と宮崎あおいが共演した恋愛映画『ただ、君を愛してる』は、2年前よりデジタルハリウッド大学で教鞭を執っている新城毅彦監督の映画デビュー作(2006年公開)である。ドリパスでも大多数のリクエストを集め、この日、デジタルハリウッド大学の特別講義付きのコラボ企画が実現した。

筆者もイベントに参加したが、『ただ、君を愛してる』がドリパスで人気が高かったのもうなずけた。テレビで見るよりも、大きなスクリーンで見た方がずっと良く、久しぶりにスクリーンで見ることの素晴らしさというものを意識させられた思いである。2人だけの秘密の森が醸し出す映像のミラクルは、スクリーンでこそ真価を発揮する。フィルムの持つ温もり、ざらざらした質感が心地好く、筆者はスクリーンに包み込まれるような錯覚を覚えた。

恋愛映画としても、繊細で、始めから最後まで胸がキュンキュンしまくった。玉木宏と宮崎あおいがとにかくピュアで、いとおしくて、筆者はずっとニヤニヤしながら見ていた。玉木宏が「キスしたことあるよ。もう何度もやってる」と嘘をつくところが可愛い。黒木メイサも本当に綺麗だった。

何が凄いかって、役者の存在感である。この映画ほど、役者に支えられた映画はないと思う。ストーリーも素晴らしいが、そのストーリーを作品の意図する狙い通りに表現するためには、何よりも役者自身の力が必要な映画である。ただ一度のキス・シーンなど、文章では決して伝えられないものが、役者の表情で伝えられている。個展のシーンでは、そこに映画の奇跡のようなものを感じて筆者は鳥肌が立った。

この日は、別に玉木宏も宮崎あおいもゲストとして登壇するわけでもないのに、イベントには熱心な玉木宏ファンと宮崎あおいファンが大勢来ていた。俳優玉木宏と宮崎あおいの魅力がいっぱい詰まった作品だから、ファンならもうDVDで何遍も見ていると思うけど、やっぱりもう一度大きなスクリーンで見たいだろうからね。

新城監督は、その後も『僕の初恋をキミに捧ぐ』(井上真央×岡田将生)、『パラダイス・キス』(北川景子×向井理)など、恋愛映画の傑作を次々と発表している監督だが、この日、観客と一緒に『ただ、君を愛してる』をもう一度見て、最初に「この作品を見たのは今回が2回目ですが、今より昔の方がうまいんじゃないかと思った」と自嘲気味にコメントしていた。当時は映画のノウハウを知らず、「時間もなくて、全部が大変でした。テレビの仕事しかやったことがなくて、映画はこれが初めてで、昔から日本映画の作り方というものがあったのですが、映画のことがわからなくて、テレビと同じように撮りました」と振り返っていた。

新城監督が参加したときにはすでに役者が玉木宏と宮崎あおいに決定していて、監督も手応えを感じていたようだ。玉木宏も宮崎あおいも元々趣味でカメラをやっていて、劇中出てくる写真はほとんど2人が実際に撮ったものだという。あの個展で使われている玉木宏の写真も宮崎あおい自身が撮ったものだ。個展で玉木宏が涙を流すシーンは特に力を入れていて、「そんなにカットを割りたくなかった。今なら正面のカットでフィックスするところですが、当時は”やってやろう”と思って、円形を使いました。日本はステディが使えないのでレールでやりました。横浜で何回も撮影しまして、準備も含めると撮影に4日かかっています」と話していた。

キス・シーンについては、「原作もそうだけど、元々の台本はもっとエロティックで生々しいもので、その流れで台本もそうなってたけど、盛りがつくのはどうかと思って。現場で始まる前に3人で話し合って、生々しくじゃダメ、でも、ただ口と口が合うんじゃなくて、ちゃんと口を開けてくれないかって。なんとなく一回やって、ちょっと離れてもう一回ぐーっといくのがキスの王道だと思って、長く撮るから延々とやってくれるよう頼んで撮りました。キスして、シャッターを押して、台本では涙が流れるようになっていたのですが、泣くんですかと話し合って、泣かないよねって話になりました」という裏話を聞くことができた。

「どういう役者を使いたいですか?」という質問には、「画面でしか見たことのない役者は、現場でどう芝居するかわからないから、やりやすくない役者でもいいから、画面で見て良いなと思う役者とやりたいです。キャスティングで、やだなと思うこともよくありますけど、やってみると意外に良かったこともあります」と回答していた。

では、玉木宏はどうかというと、「玉木君はかなりやりやすいですね」と即答だった。「玉木君は、わかりましたと言って自分なりにやってくれます。自分を持っているし、プランもある。でも自分だけで突き進むタイプじゃない。自分の中で質問はあるから、それには答えるけど、自分がこうしたいというのはなくて、こっちのことを汲んでくれるんです。良い意味で器用というか、こっちに合わせてくれるんです。男優さんでは珍しいですよね。普通の男優さんじゃなかなかこうはいかないですよ。玉木君は、かなり良い奴です。とにかくやりやすいです」と力を込めて絶賛していた。わざわざ関西から来たというファンの女性も「その一言が聞けて関西から来たかいがありました」と満足そうだった。実際、筆者も玉木宏を取材したときは、いつも好印象で、本当に撮っていて気持ちがいい役者だなと思う。

劇場には宮崎あおいのファンも多く来ていて、玉木宏ファンに対抗して男性が「私は宮崎あおい目当てで来ました。監督は、宮崎あおいを女優としてどう思いますか?」と質問していたが、新城監督は「眼鏡をとるシーンは、本当にただ眼鏡をとるだけなのに、あれだけキラキラして見えるのは、やっぱりあおいちゃんの表情なのだと思う。ただ眼鏡をとるだけだから、どうせ大して変わらないだろうと思っていたら、あれだけ変わったから驚きました。本当にすごいと思いますね。あおいちゃんはCMで見るとすごく凛々しいじゃないですか。今度は大人になったあおいちゃんとまた恋愛映画をやりたいと思ってます。23とか25とかじゃなくて、もっと年上の年齢の恋愛映画をやりたいです」とコメントしていた。

なお、新城監督は、10月26日(土)から最新作『潔く柔く きよくやわく』(長澤まさみ×岡田将生)の公開が控えている。(レポート:澤田英繁)

※宮崎あおいについて、文中では文字コードの制約で宮崎としていますが、本来の表記は「宮﨑」です。

2013年10月6日 04時19分

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