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視聴率歴代1位『キタキツネ物語』を完全新作としてリニューアル

9月29日(日)、都内にて『キタキツネ物語 35周年リニューアル版』の完成披露試写会が行われ、三村順一監督と、ボイスキャストの西田敏行(65)、平野綾(25)、本作の挿入歌で正式デビューするキッズユニットのapricot(アプリコット)が登壇。さらに、キティちゃんが応援に駆けつけ、ムツゴロウさんこと畑正憲(78)が本物のキタキツネを抱いて登場するなど、イベントを盛り上げた。


今から35年前、『キタキツネ物語』という映画が公開された。まだハローキティが生まれて間もなかったサンリオが製作した作品だ。日本初の動物大作映画であり、1978年7月15日の公開初日には映画館の前に長蛇の列が並ぶ盛況を見せ、230万人を動員した。これが翌年テレビ放送されると、視聴率はなんと44.7%。実写映画として不動の歴代1位記録が未だに破られていないというのは、映画通にはよく知られたちょっとしたトリビアである。


『キタキツネ物語 35周年リニューアル版』は、音楽も一新してナレーションを入れて作り直した、完全なる新作映画である。『キタキツネ物語』で故・蔵原惟繕監督のチーフ助監督を務めた三村順一が、このリニューアル作品の監督を務めた。


三村監督は「当時は今みたいにデジタルのカメラはなく、35ミリというフィルムのカメラで撮っていました。35ミリは重たく、持ち運ぶのも大変で、北海道でキタキツネを物陰に隠れて撮るということは大変なことでした。あるとき、カメラマンがレンズのフタを口で取ろうとして、唇がレンズにくっついて唇の皮が剥がれたこともありました」と35年前の撮影を振り返り、過酷な条件の下で撮影していたことを伝えていた。


当時撮影したフィルムの長さは100時間もあったというが、今回のリニューアルにあたって、もう一度編集段階から作り直して再構築された。フィルムは経年劣化していたが、ハリウッドのラボで修正され、最新のデジタル技術で高画質化され、現代に蘇ったのである。


この作品を今作り直した目的のひとつは、被災地を応援したいという思いがあったという。本作では、キタキツネがブリザードなど自然の猛威に絶えながら生きて行く様が荒々しいタッチで描かれている。この作品で被災地の子供たちを勇気づけたいとスタッフは願ってやまない。この日のイベントも福島の小学生を招待してのチャリティ試写会だった。


オリジナルとの大きな違いは、各キタキツネが喋るということである。平野綾はキタキツネの母親を演じた。一方、西田敏行は、ナレーションの柏の木の声を演じている。福島出身である西田は、福島から来てくれた小学生を前に「僕も子供の頃は自然でキタキツネみたいに遊んでいたんです。大人たちはこの自然を守って行かなければならない責任があります。必ず君たちを守ります。福島を故郷に持っているということを誇りを持って、これからもしっかり生きてください」と力強く語っていた。


畑は、<ムツゴロウの動物王国>であまりにも有名で、昔から動物番組のゲストとして登場すること多数。キタキツネについては「キタキツネがそこにいて、すーっと走るでしょ。足音がしないんですよ。草もそよがないんですよ。でも歩いてるんです。そういうところが好きですね〜。それこそそよ風がふーって吹いているような感じですね。そういうキツネの生活なり姿なりが大好きです」と語り、映画については「35年前と言いますけど、自然は年を取りませんからね〜。自然は写すために綺麗なんです。この花を見てください。この草一本一本を見てください。そうするとまた新しい感動が与えられると思います。草のそよぎとか、一本一本が生きてるものですから。生きてるものって美しいですね〜。その美しさに酔っていただきたいと思います」とコメント。テレビを通してお茶の間によくなじんでいたムツゴロウ節はここでも健在だった。


イベントの後に行われた、報道向けの囲み取材では、畑が「キタキツネの鳴き声はコンって言いますけど、本当は犬の鳴き声に近いんです」というと、キタキツネの鳴き声を真似してみせたが、西田は「先生がキタキツネの鳴き声を真似されたので、私は『敦煌』のときに聞き覚えたロバの声をやっていいですか。悲しい鳴き声なんです」といって舌を出しながら迫真の演技でロバの鳴き声を真似してみせた。すると畑は「僕はロバが好きでね〜」と乗って来て、熱いロバ談義が開始された。2人で互いに鳴き真似合戦をしていると、平野から「今日はキツネの話なんで」とツッコミがあり、報道席は笑いに包まれていた。(澤田)


『キタキツネ物語 35周年リニューアル版』は、10月19日(土)より全国公開。

2013年9月30日 05時42分

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