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ゾンビが人間に恋をする『ウォーム・ボディーズ』テリーサ・パーマーが来日

9月9日(月)、新橋にて『ウォーム・ボディーズ』の試写会イベントが行われ、来日したヒロイン役のテリーサ・パーマーがレッドカーペットが敷かれたステージに登場し、舞台挨拶を行った。

『ウォーム・ボディーズ』は、ゾンビホラーとラブコメをミックスした作品だ。ゾンビが人間に恋をするという斬新な発想で、映画は主にゾンビ側の視点から描かれている。全米では公開されるや、1位になるスマッシュヒットを飛ばした。

体のラインがわかる黒いドレスで登場したテリーサ・パーマーは、劇中ゾンビに恋されるヒロインの役を演じている。テリーサは先日婚約したばかりで、妊娠していて、少しふくらんだお腹を撫でながら「男の子よ」と嬉しそうに話していた。これまでも何度か来日していて、「東京は大好き。寿司が好きで、トロが大好物なの。ウナギも大好き。"次郎"って知ってる? 前回東京に来たときには"次郎"で寿司を食べたわ。おいしかったわ。今日はこの映画を紹介するために来られて本当に嬉しいわ。ダイナミックで、カラフルで美しくて、温かくて、私が誇りにしている作品よ」と満面の笑顔でコメントしていた。

ゾンビ役は『ジャックと天空の巨人』のニコラス・ホルトである。テリーサは「ニコラス・ホルトは素晴らしい俳優よ。セリフがあるのはほとんど私だけで、私だけが喋っていて、ニコラスはただうなっているだけだったわ。そのうなり声から意味を理解しなければならなかったの。セリフがない相手と演技をするのは難しかったけど、綺麗なハートの持ち主で、優しくて、面白くて、役柄として彼に恋に落ちる女性を演じるのはすごくやりやすかったわ。ゾンビだから言い返して来ないのは女性にとって良いものよね」と話していた。

テリーサがいうように、この映画の主人公のゾンビは、人並みに言葉を発することができない。うなることしかできず、がんばって単語ひとつが口から出るのがやっとだ。しかし、劇中を通して聞かれる彼の心の声が笑える。「気持ち悪がられないように、ここはちゃんと人間らしい言葉を言わなきゃな」とか考えてるし、非モテ不器用男子の塊みたいなゾンビである。でもそこが良い。彼は生前レコードコレクターだったようで、彼女にレコードを聴かせて、その思いを音楽を使って表現する。この音楽のセンスが素晴らしすぎる。ブラック・キーズやボン・イヴェールなどの数々のロック・チューンが実に見事に映像に重なっている。

導入部で人間がゾンビを襲撃するシーンなど、ゾンビ側から見た人間を描くのは価値観の逆転で、これはある意味、ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を通り越してリチャード・マシスンの『アイ・アム・レジェンド』まで歴史を遡って原点に帰ったとも言える。コミカルな部分がところどころにある映画だけど、全体的に見ると実は意外とシリアスなドラマだったりする。スケールも大きく、ゾンビが心を宿すあたり、ただならぬ壮大な感動を覚えて思わず涙があふれてくる。過去これほど美しく、これほど胸を打つゾンビ映画はなかった。

なお、この日は花束ゲストとして、つるの剛士と武井壮が登場したが、武井はオーストラリアの女優に対して「今まで見た北半球の人間の中で一番美しい」とコメントしたり、「2020年の東京オリンピックには選手として出場する」と熱く語ったり、"ゾンビの倒し方"を披露したり、武井劇場を展開していた。

『ウォーム・ボディーズ』は、9月21日(土)よりシネクイントほか全国ロードショー。(澤田英繁)

2013年9月11日 12時17分

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