ブンロク

宇宙の時間は無限大『キャプテンハーロック』公開

9月7日(土)から、松本零士原作の映画『キャプテンハーロック』が公開中だ。丸の内TOEIでは、初日に舞台挨拶が行われ、松本零士の他、キャプテンハーロックの声を演じている小栗旬、ヤマ役の三浦春馬、荒牧伸志監督が登壇した。

『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』などでも知られる松本零士だが、『キャプテンハーロック』は海外で最も人気が高い松本零士作品のひとつで、特にフランスではハーロックを見て育った世代を「ハーロック世代」というほどの人気がある。

そういうこともあって、今回の映画化では、製作決定の話が出たところから40以上の国々から取材が殺到。76の国と地域で公開オファーがあった。シリーズものではない作品がこれだけ注目されるのは異例のこと。公開前から世界では異様なまでの盛り上がりを見せていた。

世界が期待する作品、失敗は許されないビッグプロジェクトということで、日本映画界では考えられない3000万ドルという巨額の製作費を投入して作られ、松本零士は映画でも原作総設定という形で深く関わった。それが満を持してようやくこの日公開されたのである。

作品は全編CGで制作された。顔を含めてモーションキャプチャーで制作する手法で、そのデータ量は250テラバイト(CDにして約18万枚)を超えたという。あのジェームズ・キャメロン監督もその映像を賞賛している。小栗は「すでに役者が演じていて動きができあがっていて、口も日本語のセリフにあわせて動いていたから、そこに合わせるのが結構大変でした」とコメントしていた。良い意味で小栗旬の声だとわからない声になっていると評判である。

先日行われたベネチア映画祭にも招待されたが、ベネチアでも松本零士の人気は圧倒的でレッドカーペットでも注目の的だったそうである。同行した三浦は「レッドカーペットでは現地の多くの人に迎えられて、最初のうちは緊張して足ががくがく震えていました」と振り返った。荒牧監督から「春馬コールもあったよ」と言うと、三浦はうれしそうに満面の笑みを見せ、客席の女性ファンから「かわいい」という声があがっていた。

松本先生は「僕が創作したキャラクターで、実はキャプテンハーロックが一番最初なんです。小学校の頃に生み出しました。歩くときに”は〜ろっく!は〜ろっく!”と言っていたからハーロックという名前になりました」とコメントしていた。

三浦は「松本先生に最初にお会いして思ったことは、すごく肌つやが良いなと」と振り返ると、松本先生は一瞬照れ笑いしていたが、「僕らの世代は戦後の食糧難で、成長期にろくに食べ物を食べられなかったから背が低いんです。あなたたちはちょうど育ち盛りの頃にいっぱい食べてるから背が高い」とコメントしていた。

奇しくも前日に3歳年下の宮崎駿監督が引退を表明したばかりだったが、そのニュースを受けてか、75歳を過ぎた松本先生は声高らかに「僕は年を取りません。宇宙の時間は無限大ですから」と宣言し、生涯死んでも引退しないで創作を続けていく意思を、宇宙の果てしないロマンに絡めて小粋に表現してみせた。

2013年9月9日 03時14分

新着記事

KIYOMASA君
KIYOMASA君
(ブンロク公式キャラクター)