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『共喰い』、菅田将暉「転機になった」

8月26日(月)、『共喰い』のプレミア上映会が行われ、青山真治監督と、原作の田中慎弥、出演者の菅田将暉、篠原友希子、光石研が舞台挨拶を行った。

本作は、つい先週スイスのロカルノ映画祭で、若い審査員が選ぶ「ユースジューリー賞最優秀作品賞」とスイス国内の批評家たちが選ぶ「ボッカリーノ賞最優秀監督賞」をダブル受賞したばかり。世界からも注目されている青山監督の待ちに待った新作は、人間の根源にある性と暴力を描いた作品である。

話題作とあって、この日のチケットも発売してすぐに完売したが、それはもっぱら菅田将暉の人気が貢献していたようだ。青山監督は「ロカルノで上映したときには、”ゲストになぜ女優が来てないんだ”とスイスの人にすごい剣幕で怒られて、”忙しくて来られなかったんです”と言ったら”そんなの言い訳にならん!”と椅子を蹴って出て行ったんですよ。ですから今日は女優を一人連れて来たのですが、客席を見てみたら若い女性客ばかり。みなさん、菅田将暉目当てで来たんですよね。映画では、”目を背けるくらい”美しい菅田将暉が映っています」とコメント、どうやら今までにない新たな菅田の姿がスクリーンで見られるようだ。

菅田自身にとっても本作は特別なものになった自覚があるようで、「僕も胸を張って転機だなと言える作品になったと思います。僕は『仮面ライダーW』のオンエアも9月だったんですね。『仮面ライダーW』は僕の転機になりましたし、『共喰い』も9月7日公開で、これも10代最後全身全霊込めて演じました」と運命的なものを感じているようだ。

田中慎弥は、芥川賞の授賞式で”もらっといてやる”と発言したことで有名だが、そのエピソードについてもここで語られた。光石は「”もらっといてやる”発言で一世を風靡した先生なので、怖い人かと思っていたら、先生もすごく映画が好きらしくて、現場にいらして、一緒に写真を撮らせてもらったら、すごく満面の笑みで撮ってくれて、その写メをみんなに送ったら、みんな”え?この人笑うの!?”と驚いてました」とコメント。菅田はさらに押し進めて「田中先生がどうして”もらっといてやる”と言ったのか気になってYouTubeで見たら紙面に書かれてあるのと全然印象が違っていて、すごくエンターテイメントなものを感じまして、田中先生に聞いてみたら、最初から狙ってこう言おうと決めていたそうです。色々聞いていたらあまり分析しないでくれと言われました」と明かしていた。

そんな田中は、「昨夜東京ドームでAKB48のコンサートを見まして、これは日本の明るさの頂点だと思いました。『共喰い』は、日本のダークさの頂点です。ただでさえ憂鬱な月曜日の夜ですが、日本のダークさの頂点を見ていただきたいと思います」とコメントするなど、ここでもキラリと光る独特のユーモアセンスを見せてくれた。その一方で、「映画と小説はまったくの別物なんです。映画では小説の雰囲気を壊しているからダメとかじゃなくて、それぞれが独立した作品なので、二つの表現方法があるので、作品化したときには、小説はこうなりました、青山組はこうなりました、それは優劣ではなく、原作と同じかどうかではなく、独立した作品として楽しんで欲しいです」と長々と持論を語る一面も見られた。

『共喰い』は、9月7日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー。

2013年8月27日 01時05分

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