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『パシフィック・リム』日本文化へのラブレター

特撮映画ファンの皆さん、お待たせしました。ハリウッドがついにやってくれましたよ。日本の特撮映画をハリウッド規模で映像化してくれたのです。その名も『パシフィック・リム』。製作・監督・脚本を務めたギレルモ・デル・トロが来日して7月28日(日)に新宿で記者会見を行いました。

ギレルモ・デル・トロは大の日本文化好きとして知られている監督です。それもオタク文化に特化しているようですが・・・。実はこの記者会見は、4月にやる予定だったのですが、デル・トロ監督の都合でキャンセルになり、そのときは「本当に日本に行くのを楽しみにしていたのに」と悔しさをにじませるメッセージがメディアに向けて届いたほどでした。それから3ヶ月、日を改めてこうして記者会見が実現したのです。日曜日の記者会見というのはかなり異例でしたが、それはデル・トロ監督がどうしても日本に来たかったという強い意志の現れでしょう。

とても優しそうなデル・トロ監督。最初に「この映画は日本への、日本文化への僕のラブレターなんだ」と言ってから記者会見はスタートしました。「僕は1964年に生まれてるんだけど、『鉄人28号』、『鉄腕アトム』、『マジンガーZ』、それから円谷さんの『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』を見て育った。その頃は日本のアニメと特撮は黄金期を迎えていたんだ」と目をキラキラ輝かせて語っていました。

作品にはその名もズバリ「KAIJU(カイジュウ)」が人類の敵となって登場し、太平洋沿岸の都市のビルを破壊して大暴れします。そして地球防衛のために開発されたのが巨大なロボット「イエーガー」。ロボットと怪獣の激しいバトルが繰り広げられます。そのロボットのギミックも日本のロボットアニメが色々と参考になっているとのことです。会見では「最も影響を受けたのは、押井守監督の『機動警察パトレイバー』だね。あのメカの動きは素晴らしいよ」と語っていました。

デル・トロ監督は「本多猪四郎監督は『ゴジラ』を撮るとき、自宅の台所にみんなを集めてこう言ったんだ。”この映画の怪獣を信じられないものはここから出て行け”ってね。僕もその気持ちは変わらない。そのつもりで映画を作った」とコメントしていました。そのときの監督の真剣なまなざしが印象的でした。なお、この映画は本多猪四郎監督に捧げてあります。

日本へのラブレターとして、日本人の女優が起用されています。もうハリウッドでもかなり有名になった菊地凛子さんがヒロイン役を射止めました。そして菊地さんの幼少時代を演じるのが芦田愛菜ちゃんです。ついにハリウッドデビューですね。会見でも愛菜ちゃんは「Please enjoy the film "Pacific Rim"」と英語で挨拶するなど、すっかり気分はハリウッドスターでした。「現場で監督が"よーい始め"じゃなくて”アクション”というのが日本と違ってて緊張しました。一人一人にキャンピングカーがあったのに驚きました。監督は”トトロって呼んでね”と言ってくれました。だって本当にトトロに似てるんだもん」と言う姿がとにかく可愛かったのですが、それを横でニコニコ笑顔で見ていたデル・トロの優しい表情がまた微笑ましかったです。

デル・トロ監督は、会見のあとも日本で買い物を満喫するそうで、「中野ブロードウェイに行きたい。空っぽのスーツケースをわざわざ持ってきたんだ」と色々マンガやオモチャを買って帰る気満々であることをアピールしていました。

愛があるんだなぁと思いましたね。その愛をもって、『パシフィック・リム』を監督しているのですから、当然ながら映画から日本の特撮映画に対する愛をすごく感じ取ることができます。

何と言っても、ビルほどの大きさの怪獣とロボットが激しいバトルを繰り広げるところは見ものです。あれだけ大きいものが動いている、ただそれだけ見ているだけでも何やらすごく胸が熱くなってくるんですね。出動のシーンとかは、特撮ファンなら軽く泣けてきますよ。中にパイロットが入って操縦しているところがまた男心をくすぐります。ビルを破壊する怪獣のその破壊っぷりの豪快なこと。その怪獣の頭めがけて強烈なパンチをお見舞いするところなど、思わず「キター!」と嬉しくなってしまいます。『ウルトラマン』を見て育った人なら、この気持ちはわかると思います。それがハリウッドのレベルで、もの凄くリアルな映像で重量感たっぷりに描かれているのですから、本当にハリウッド、ついにやってくれたよと、ただただその気持ちでいっぱいなのです。

(ちなみに、吹き替え版は、杉田智和、林原めぐみ、玄田哲章、古谷徹、三ツ矢雄二、池田秀一、千葉繁、浪川大輔と豪華なラインナップで、『ガンダム』ファンも『エヴァンゲリオン』ファンも見逃せません!)

8月9日(金)から新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか、3D/2D、字幕/吹替同時公開。(澤田)

2013年7月30日 04時04分

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