『終戦のエンペラー』ジャパンビューティー初音映莉子

去る4月24日(水)、銀座にて、アメリカ映画『終戦のエンペラー』の記者会見が行われ、プロデューサーの奈良橋陽子、ゲイリー・フォスター、野村祐人、キャストの初音映莉子(はつねえりこ)、西田敏行、中村雅俊、伊武雅刀、片岡孝太郎が登壇した。
『終戦のエンペラー』は、日本を舞台にしたアメリカ映画である。ダグラス・マッカーサーと昭和天皇が一緒に写っている写真は誰もが知っているだろう。全国民が日本がアメリカに負けた事実を実感した写真である。この歴史の1ページに秘められた衝撃と感動のドラマを描いた作品が本作である。第二次世界大戦の戦後を描く歴史大作にして、ミステリーの要素も含まれている意欲作である。
キャストには主演に『LOST』のマシュー・フォックス。マッカーサー役には日本を「第二の故郷」と言ったトミー・リー・ジョーンズが演じている。「外国人が日本を描く」ということが、この映画の最大の興味といえるが、日本を描くにあたって超一流のスタッフたちがここに集結した。監督は『真珠の耳飾りの少女』、『ハンニバル・ライジング』のピーター・ウェーバー、撮影は『ピアノ・レッスン』のスチュアート・ドライバーグ、衣装は『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』でアカデミー賞に輝いたナイラ・ディクソンである。また、脚本のデヴィッド・クラスは、ハリウッドで30本以上長編を手がけ、日本で教師をしていた経験もある脚本家だ。
ところで、本作最大のキーパーソンといえば、奈良橋陽子だろう。「アメリカ映画の中の日本」は、この人が変えたといっても過言ではない。それまで外国映画の中で描かれる日本は、日本人なら首をかしげるような描写の作品が圧倒的に多かったのだが、それを覆したのが『ラスト サムライ』、『バベル』、『SAYURI』といった優れた作品であった。これらのキャスティングを手がけたのが奈良橋その人である。ここまで来ると「日本を描くなら奈良橋」という図式がすでに定着した観さえある。今回奈良橋は息子の野村祐人と共にプロデューサーを務めている。
本作には多くの日本人キャストが登場する。そして英語のセリフを喋っている。西田敏行は会見で、この作品で見せた自分の英語の芝居にかなり満足していた。昭和天皇役の片岡孝太郎は歌舞伎の公園をはねつけてまでしてこの役を選んだ。奈良橋にキャスティングされた役者の多くはその後ハリウッドで成功している。『ラスト サムライ』、『SAYURI』に出た渡辺謙の活躍ぶりは周知の通りである。この調子でいけば『終戦のエンペラー』からも第二の渡辺謙が出てくるかもしれない。
最も注目して欲しいのは、ヒロイン役に抜擢された初音映莉子である。「日本人のたたずまいや、仕草雰囲気を意識して演じました。あの時代、女性は口に出して言いにくい分、心の中でひたむきに信じている姿を意識しました」と語る初音は現在31歳。クリスチャン・ディオールのオートクチュールコレクションに出るなどファッションの分野でも注目を集めている女優だ。初音は会見では見ているだけで何か吸い込まれてしまいそうな神秘的なオーラを放っていた。日本女性の美を感じさせ、その名前の語感からもスター性を感じさせる。
菊地凛子は『バベル』に出たときにはまだ日本では無名だったが、今では国際的な人気女優になった。初音映莉子も、そういう秘めたるものを感じさせる女優である。マシュー・フォックスは彼女の魅力に惹かれていく役どころになるようだが、これは期待してもいいだろう。
この日の会見では、早速現場での初音のモテぶりがあらわになった。西田敏行も彼女の魅力に惹かれた一人であり、「ニュージーランド(ロケ地)で初めてお会いして、その横顔の美しさに心拍数が上がってしまいました。何気なくスタッフと交わす英語が素敵で、食事に誘いたいけど、誘えない、そんなすきがない日本女性でした。なので結局食事には誘えませんでした」と打ち明け、記者陣を笑わせていた。一方、近衛文麿役の中村雅俊は、それを受けて「僕は初音さんと一緒に食事をしてるんですよ。しかも初音さんと2人だけで食事しました」と話し、もっと記者陣を笑わせた。西田は「いいなぁ」と悔しそうに嫉妬していた。
『終戦のエンペラー』は、7月27日(土)から全国ロードショーされる。