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小泉八雲の怪談「耳なし芳一」舞台上演、芳一役は山本裕典

KAAT神奈川芸術劇場にて、『耳なし芳一』が4月13日(土)から4月21日(日)まで上演されている。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)原作の有名な怪奇小説を元に、宮本亜門が独自の解釈で演出している。出演は山本裕典、安倍なつみ、益岡徹、橋本淳ら。

(ネタバレあり)怖い昔話としてあまりにも有名な『耳なし芳一』。壇ノ浦の戦いで滅亡した平家の亡霊から身を守るために、全身に般若心経を書いて亡霊と対峙するが、耳に般若心経を書き忘れたことで、耳を引きちぎられるという話である。これまで様々なところで作品化されてきた名作だが、今作はKAAT神奈川芸術劇場のNIPPON文学シリーズ第三弾として、宮本亜門が演出を手がけている。

山本裕典は、この物語の主人公である盲目の琵琶法師を演じているが、この舞台のために琵琶を特訓してマスターし、実際に演奏している。全身に般若心経を書くシーンではほぼ全裸に近い演技も披露している。

本作では、目に見えない魔物の恐怖が描かれているが、それを描くために、大道具や映像など様々な装置の工夫が施されている。中でも圧巻なのは3メートルを超える巨大な武士が登場する大からくりのシーンだ。黒子が3人掛かりで操作し、暗闇の中から「芳一!」と叫びながら登場する様は鬼気迫るものがあり、見るものを身震いさせる。

一方で、小さなパペットも登場する。安倍なつみは本作では黒子を演じており、小さなパペットを手で操作しながら声で演技をするという新たな試みに挑戦している。会見では宮本亜門は「安倍なつみに黒子をやらせる人は僕くらいしかいない」と笑っていた。

作品のもうひとつの特徴として特筆すべきことは、「耳なし芳一」の物語が展開しているその横で「怪談」を執筆している小泉八雲の姿が描かれることである。この八雲が、物語の後半で、「耳なし芳一」の登場人物たちと交錯するところは作品の大きなテーマになっている。(澤田英繁)

2013年4月16日 02時18分

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