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イベントを途中で退場した大物俳優ジャン・レノ

去る12月4日(火)、恵比寿のフレンチ・レストラン「ジョエル・ロブション」にて、『シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』の特別上映イベント&立食パーティーが行われ、主演のジャン・レノが登場した。

ジャン・レノが演じるのは、20年間三ツ星を守って来たベテランシェフ。次の審査会で星を失えば店の運命が終わるのにスランプに陥ってしまう。そんなとき、生意気な天才若手シェフ(ミカエル・ユーン)と出会って・・・というのがストーリーだ。

三ツ星とは言うまでもなくミシュランの評価のことである。三ツ星は最高ランクであり、「その料理を食べるだけの旅をする値打ちがある」という意味づけである。これが二ツ星に降格したら客足が突然途絶えてしまうから、三ツ星シェフはこの三ツ星を守ることに命をかけてきたわけである。それを風刺したコメディがこの『シェフ!』である。一皿一皿に盛られた料理の美しさも見どころだ。

この映画のイベントに相応しい場所は、やはり本物の三ツ星レストランしかない。ということで、恵比寿にある三ツ星フレンチ・レストラン「ジョエル・ロブション」でイベントは行われた。史上最短で三ツ星を獲得し、日本では「フレンチの神様」と言われているスターシェフ、ジョエル・ロブションが開いた店である。ジャン・レノもジョエル・ロブションとは友達同士であり長い付き合いだという。

ジャン・レノといったら、『レオン』などフランス映画はもちろん、ハリウッド映画でも有名で、昔から日本のCMに多数出演しており、日本でも馴染みのある俳優である。最近ではドラえもんの格好をして人気を集めている。いったい本人はどういう人なのかというと、意外にシャイな人だった。

登場したのに、中央に用意されたステージにあがろうとせず、ステージの隅で「ここでいいよ」と言って動かなかった。お立ち台みたいなところに立つのはどうも恥ずかしいというわけだ。マイクを持って挨拶するかと思えば、最初の言葉は「ありがとう」のたった一言だけ。普通の俳優なら最初にもっと話すものである。

ジャン・レノは、会場がレストランだったこともあって「僕はシェフたちを尊敬しています。毎日毎日同じクオリティの料理を食べる提供しなければならない。お客さんは舌が肥えてるからね」と話していた。「男性の皆さんにアドバイスがあります」と前置きしてから「女性のために料理を作るのは、誘惑のために非常に有効な武器になります」と言ったときには会場から拍手が沸き起こった。

しばらくして、パティシエを夫に持つ美食家・川島なお美が登場した。流暢なフランス語でジャン・レノに言葉をかけ花束を渡し頬にキスを交わすと、敬意を表してか、やっとジャン・レノもステージにあがってくれた。しかし、乾杯するなりまたすぐにステージを降り、「実は糖尿病なんだ」と言ってワイングラスを置くと、そのままフォトセッションもせずに背中を見せてそそくさと退場してしまった。来場者は皆ぽかんとしてしまったが、仕方がないので、川島なお美一人だけでイベントを続行することになったのである。

余談だが、どうもフランス人は写真が嫌いな人が多いようである。そういえばリュック・ベッソン監督も写真が嫌いで、カメラから逃げるように隠れていたことを思い出した(この写真)。ジャン・レノも「フランス人カメラ嫌い説」の例外じゃなかったということで、筆者は案外納得してしまった。途中退場の真意はわからないが、機嫌が悪かったわけではなさそう。単純に恥ずかしがり屋だったのか、それとも何か伝説を作りたかったのか、ともかくあの状況で退場できるのはタダモノじゃなく、それだけジャン・レノが大物だということである。

『シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』は12月22日(土)から公開。

2012年12月10日 01時18分

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