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「照れるなぁ」志村けんにぴったりのキャラクター『ロラックスおじさんの秘密の種』

『アイス・エイジ』シリーズなどを手がけたクリス・メレダンドリが2007年に設立した3DCGアニメーションスタジオ「イルミネーション」の新作『ロラックスおじさんの秘密の種』が10月6日(土)から公開中である。この日本語版吹替の声を志村けんが演じている。公開初日には、志村けんが人生で初めて映画の舞台挨拶に立った。

初日舞台挨拶

舞台挨拶には、志村けんの他に、共演したキャストのトータス松本、能年玲奈、宮野真守、山寺宏一、LiLiCoが出席した。

トータス松本は「自分じゃないものの口と自分の口を合わせることがこんなに大変なこととは思わなかったです」と挨拶。能年は「初だったのですごく緊張してガチガチのまま今日来ました。すごく楽しくて面白かったです」と挨拶した。志村は「次は子作りに挑戦したいです」と言って大人の客を笑わせていた。

宮野は「子供の頃から憧れていて、ずっとテレビで楽しませていただいていた志村けんさんとこの作品で初めてお目にかかれて・・・大好きです!」と言って志村に一礼。志村は「照れるなぁ」とネタで返したが、宮野は嬉しそうに鼻歌で「照れるなぁ」の曲を歌いながら踊りを真似していた。

終盤では、小さな子供達が花束を持って登場。このうちの一人の男の子が舞台の上でやりたい放題で大変だった。この子が舞台で寝そべって「ちょっとだけよ」風の仕草をしてみせたところでは大反響。宮野は「それ志村さんのネタじゃないんだよな。ちょっと違ったなぁ」と言いつつも「すごい天才がいたもんだ」と感心していた。

山寺は、志村の演技について「笑いの神様について何か僕が語るようなことはありませんが、皆さん見てお分かりの通り、ロラックスおじさんは志村さんのためにある役ですよね。ハリウッドが志村さんを想定して作ったとしか思えない」と絶賛していた。

日本語版吹替

筆者も初日に3Dで見たが、これはお世辞で言ったのではなく、本当にそうだと思った。本当に志村けんのために作られたようなキャラクターかと思うほどぴったりで、あまりにも合いすぎているものだから、東宝東和がなぜ志村けんに出演依頼するに至ったのか、そのいきさつが詳しく知りたくなったくらいである。よくぞ志村けんを選んでくれたと思う。

他のキャストもみんなとても良い仕事をしている。この作品では、プロの声優と芸能人による声優の声が同居しており、一本で二つの演技タイプが楽しめる。宮野と山寺はプロなので、その演技力はさすがの一言。能年もプロの声優の中に溶け込んでいた感じだ。一方、志村けんとトータス松本については、その評価は演技力とは別のところにある。何よりもその存在感である。トータス松本演じるワンスラーは、いつもエレキギターをかきならすロックな兄ちゃんの役どころ。ワンスラーのシーンがミュージカル仕立てになっていて、トータス松本の豪快なリードボーカルで歌が聞けるのはある意味感激だった。また、LiLiCoも思わず吹いてしまうほどビジュアルがぴったりで、カーチェイスシーンでの奮闘ぶりなど見ていて妙に嬉しくなる。

イルミネーション

さて、この映画を作ったスタジオ「イルミネーション」だが、といっても、そのブランド名にはまだ馴染みがないかもしれない。しかし、ピクサー、ドリームワークスと並び、他のCGアニメーションスタジオにはない独特の個性を持った期待のスタジオであることは間違いない。第1作『怪盗グルーの月泥棒』は米国で2億5千万ドルを売り上げ、『ロラックスおじさんの秘密の種』も米国で2億ドル以上売り上げていて、設立してわずか5年で一躍CGアニメーションのトップセールスブランドになった。

「イルミネーション」の作品の特徴は、遊び心にあふれて、とにかく楽しいことだ。1作目から「アトラクションムービー」の方針を打ち出し、とりわけ3Dの映像をいかに楽しむかについて追求してきた。川の水面すれすれを前進するカメラワークは3D効果絶大。次々とアクションとギャグが展開し、3D効果を狙ったシーンが満載で息を飲ませる。

映画館には小さな子供たちも多く来ていた。作品では、シーンとシーンの間のつなぎのカットとして、あまり本筋と関係のないキャラクターの軽いギャグがアクセント的に挿入されるが(例えば、魚がホタルを飲み込むと魚の目から光線ビームが出るといったギャグなど)、子供たちはこういう些細なギャグにも大喜び。手を前に出して飛び出す画面に触ろうとしたり、ここまで楽しめるなんて子供たちはなんと無邪気なのだろうか。しかし、最後のシーンは、大人こそホロリとさせられるだろう。この映画を見ていると、大人になって忘れてしまった何かを思い出せるような気がする。

愛嬌あふれるキャラクターたちが沢山登場する『ロラックスおじさんの秘密の種』は現在大ヒット公開中だ。

CGアニメ映画ブランド ビッグ3

ブランド ピクサー ドリームワークス イルミネーション
配給会社 ディズニー パラマウント ユニバーサル
主な作品 『トイ・ストーリー』
『モンスターズ・インク』
『ファインディング・ニモ』
『Mr.インクレディブル』
『シュレック』
『マダガスカル』
『カンフー・パンダ』
『ヒックとドラゴン』
『怪盗グルーの月泥棒』
『イースターラビットのキャンディ工場』
『ロラックスおじさんの秘密の種』
2012年10月9日 03時11分

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