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『青木ヶ原』フィルムの時代は終わったと痛感

7月14日(土)、埼玉県川口市にて、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012が開幕され、石原慎太郎原作の映画『青木ヶ原』がオープニング上映された。上映前には出演者の前田亜季(27)、矢柴俊博(41)、監督の新城卓(68)が舞台挨拶に立った。


SKIPシティ国際Dシネマ映画祭はデジタルシネマの発展に寄与するべく9年前にスタートしたデジタルシネマだけに特化した映画祭である。映画祭の滝沢裕二ディレクターによると、開催当時はデジタルシネマを上映できる映画館はSKIPシティを含めて5、6館しかなかったのだが、現在は日本の3331スクリーンのうち、2273スクリーンがデジタルで上映できる映画館になったということである。


『青木ヶ原』は、これまでずっとフィルムで撮り続けてきた新城監督にとって初めてのデジタルシネマとなった。新城監督は最初は抵抗があったというが、「デジタルになって、年をとったなという感じがしました。僕らはずっとフィルム畑でしたから。デジタルは夜間とか早朝とか微妙なディテールがよく出るんです。これが感動しました。もうフィルムの時代は終わったと痛感しました」と映画を作ってからは気持ちもだいぶ変わったようである。


本作は死にゆく人たちをテーマにした作品。どうやら石原慎太郎の怪談趣味も反映している模様。新城監督は石原作品の魅力について、「石原小説というのは基本的にシビアといいますか、トルーマン・カポーティの作品で『冷血』がありますよね。石原さんにも非情なところがあるんですよ。テレビを見ますと怒ったりせっかちな部分しか見えませんけど、非常に優しくて涙もろいですよね。僕とは馬があうというか、気が合うというか、そういうところは大いにあると思いますね。多少の意見の食い違いはありますけど、もめたことはないです」と語っていた。


本作のヒロイン前田亜季は、「撮影していたのは今年の春頃で、まだ雪も残っていましたし、寒かったです。短期間の撮影だったんですけど、スタッフキャスト集中して撮っていたのでそこはすごくホットな現場でした」と撮影を振り返った。新城監督については「最初は怖い方なのかなという印象だったのですが、現場ではすごく穏やかで、普段はすごく優しい監督でした」とコメント。新城監督はすかさず「僕は今村昌平という監督についたんですけど、みんなから鬼の今村、仏の新城と言われていたんですよ」と自慢気に語って場内の笑いを誘っていた。


SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012は22日まで開催中。『青木ヶ原』は2013年に全国ロードショーされる。

2012年7月17日 00時43分

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