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『もしドラ』はAKB48前田敦子が自分の青春を託した映画

6月4日(土)、六本木にて、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(通称『もしドラ』)の初日舞台挨拶が行われ、前田敦子(19)、瀬戸康史(23)、峯岸みなみ(18)、池松壮亮(20)、川口春奈(16)、田中誠監督(50)が登壇した。

『もしドラ』は、高校野球に20世紀のマネジメントの父ドラッカーをからめるという異色の青春&経営学ドラマ。AKB48のプロデュースに携わってきた放送作家・岩崎夏海が書いた原作は、タイトルの文中に二つの固有名詞を含む長すぎるタイトルながらも250万部を突破するベストセラーに。これを岩崎の師である秋元康が総合プロデュースして映画化。今や日本中を席巻するアイドルグループAKB48が主題歌を歌い、前田敦子が初主演するという、まさに流行の最先端をゆく作品である。これはAKB48ありきの本格映画プロジェクトの序曲となるに違いない。

この日、会場からは盛んに「みなみ」コールが巻き起こっていた。前田敦子の演じる役が「みなみ」であり、さらに峯岸みなみが出演していること。そして司会があたかも狙ったようにTBSアナウンサーの田中みな実だったため、いったいどの「みなみ」を呼んでいるのかわからなくなるほどステージは「みなみ」だらけに。異様な盛り上がりの中、舞台挨拶は開始された。

前田は、初めての主演作ということで、何と言っていいのかわからず「なんだろうな」と悩ましげに首を傾げていたが、その姿が愛くるしく、女性客から「かわいい!」との声があがった。男性客からも「がんばって」と後押しされて、前田は「制服を着てここに立たせてもらっているのも、ひとつの青春だなと思っています。こういうことは今でしかできないんだろうな。あまりプライベートでは青春ということを送って来なかったので、その分この映画に私の青春というのが詰まったのではないかと思います」と素直な気持ちを語った。AKB48のメンバーとして多忙な毎日を送り、普通の女の子としての青春を送って来なかった前田は、自分の青春をこの作品に託していたようだ。その佇まいからは、アイドルとして生きていることの意志の強さも感じられた。

瀬戸は、「コミュニケーションの大切さが伝わったなと思う作品で、僕たち人間は夢も違ってバラバラなんですけど、バラバラの人たちがひとつの目標に向かって頑張ることで大きなことが成し遂げられるんだなと、そんな勇気だったり感動だったりを届けられる作品になったと思います」とコメント。「真冬に真夏の設定はきついなと思いましたね。映像で見る限り真夏なんですけど、僕たちキャストスタッフのみなさんは朝最初雪かきから始まります。寒くて息が白くなるので、セリフを言う前に氷を食べたりして撮影に臨んでいたのでキツかったですね。雪かきとかでもチームワークが芽生えたりしました」と撮影の日々を振り返っていた。

峯岸は、「こんな大きい作品に参加させていただくことは一生ないんじゃないかと思っていたので本当に光栄に思っています。この映画の大事なテーマである”真摯にひたむきに”という言葉を峯岸みなみ自身にも当てはめてがむしゃらに頑張ってきました。ドラッカーの言葉が素晴らしく、見た後に、自分の悩みみとかぶつかってる壁とか、明日からちょっと頑張ってみようかなという前向きな気持ちになっていただけていたら嬉しいです。まだ何も面白いことを言えず私の挨拶は終盤にさしかかっているんですけども(会場笑)、本当にそれぐらい真剣にこの映画をたくさんの人に見ていただきたいと思います」とコメント。撮影初日は前田よりも先に現場に来てしまい、極度の緊張で「芸能人がいっぱいいて怖いから早く来て」と前田に電話し、お互いに絆を深め合ったという。

池松は、「前田敦子とは、お互いの役者魂を持ってやらせていただきました。それでも僕の演技に納得できなかったら、後日個人的に会いに来てくれれば、後ろから刺すとかじゃなければ話を聞きますから」と意味深のコメント。この意味は映画を見て確認していただきたい。池松は「チケット買うときにタイトルを言うのは大変だと思うんですけど、『もしも高校野球のマネージャーが女子・・・もしも・・・』、なんだっけ?」とタイトルを忘れてしまい、前田から「”もしも”じゃなくて”もし”」と指摘されていた。

田中監督は、「言ってみれば映画の作り方がマネジメントみたいなもんで。自分たちの考える自分たちの役どころでやってくださいというのを僕もできるだけ受け止めてやりました」と挨拶。出演者が登場人物そのものだということを示唆していた。また、「この年になってつくづく、映画というのは理屈じゃないんだな、感じることなんだなと思いました。彼らがどのように『マネジメント』を体験したかということを一緒になってこの映画で体験し、見終わった後に、生理的につかんだみたいな感じになって欲しい」とアピールしていた。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」は、東宝の配給で現在公開中。(文・写真 澤田英繁)

前田敦子 瀬戸康史 峯岸みなみ 池松壮亮 川口春奈 田中誠監督
左上から前田敦子、瀬戸康史、峯岸みなみ、池松壮亮、川口春奈、田中誠監督

フォトセッション

2011年6月5日 23時59分

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