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『レオ二ー』中村獅童、役者としての気概

11月20日(土)より『レオニー』(配給・角川映画)が公開中である。世界的な彫刻家イサム・ノグチを育て、波乱の時代を生き抜いた一人のアメリカ人女性レオ二ーの生涯を描いた日米合作映画で、先日行われたジャパンプレミアで皇后陛下がご覧になったことでも話題になった映画である。これに出演した日本の歌舞伎役者・中村獅童(38)が、本作にかけた思いについて詳しく語ってくれた。

獅童は、この作品に出ているときに父親を亡くした。獅童はこの作品に出られることを誰よりも喜んでいたのは父親だったという。

「最初はどういうストーリーか知らなかったので、台本に目を通して行くうちにあれっと思いました。ちょうどマスコミの皆さんをお騒がせした時期と重なっていたので、複雑な心境でしたけどね。なぜやらせていただいたかと申しますと、今まで演じたいとことのないタイプということと、2年前に亡くなった父が昔の人なので舶来物とかに弱いんですよね。ですから海外に行って外国の方とご一緒していだけるということに父が喜んでくれたので、それも決め手でした。」

半ば自虐も入ったこの発言からも想像できるように、獅童が演じるキャラクターは女性に対してひどいことをする悪役的存在であるが、これを演じるにあたって獅童自身は実に前向きに考えていた。

「文章だけ見るとひどい男ですが、なぜレオ二ーがこの人に惹かれたのか、一人の男性として魅力があるのかということが課題でした。ただただひどいだけじゃ日本まで追いかけてこないと思うんですよね。文章として描かれていない行間を役者としてどういう風に作り上げて行くのかというのが挑戦でしたね。
自分は彼を悪役としては演じてないんですよ。彼には彼の生き方があるので、ずるくないんです。すごくまっすぐで正直な、芸術に対する意欲があって、そこですよね。
今の日本の男性と全然違うんですよね。やっぱり遠いようで近い過去の日本人の男性を演じることは難しいんですけど、こういう男性がもっていた魅力を演じることができる役者になりたいという自分自身の思いもありますので、この作品に出会えたことですごくいい経験になりましたし、ますますこういう時代の日本人を演じたいと思いました。」

松井監督は、シナリオを書いているときからこれは獅童をおいて他にいないと思ったという。立ち姿、全身を写したときの動きの綺麗さ、歌舞伎で培われたその美しい所作は、どんなにひどいことをする人でも許せてしまうセクシーな魅力があったという。

「自分はやっぱり若い頃は、他にも職業があると思ったんですけど、やっぱり自分にはお芝居をすること以外できないので、自分が好きなことが仕事になってることは大変にありがたいことですし、自分が無我夢中になってやらなければ、それを見てくださるお客さまに失礼ですから、生涯いくつになっても演じていきたいですね。
父は完成する前に旅立っていくしまったんですけど、自分自身がこの作品に出会えたおかげで、母から受けた影響、父から受けた影響、どうして自分が今役者の仕事をしているんだろうと考えたときに、やはり母から受けた影響が物凄く大きんですね。だから自分にとっても中村獅童という役者として、一人の人間として本当に素晴らしい作品に出会えたと思うんですね。だから女性の方はもちろん、男性の方も、ご両親のこと、いろいろなことを感じていただけたら嬉しく思います。本日は本当にありがとうございました。」

その語り口調、前向きな姿勢、落ち着いた佇まいはさすがは歌舞伎役者といった感じで、数ある舞台挨拶の中でも記憶に残る素晴らしい名挨拶だったのではないかと思う。他に、吉行和子(75)、山野海(45)、松井久子監督(64)、ヤン・A・P・カチュマレク音楽監督(57)が出席。(文・澤田英繁)

2010年11月27日 20時02分

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