空前のスケール『三国志』テレビドラマ完成
8月30日(月)、六本木にて、中国のドラマ『三国志』の試写会が行われ、出演者のピーター・ホー(34)とチェン・ハオ(30)が舞台挨拶を行った。花束ゲストとして林丹丹(21)が登壇した。
『三国志』といったら、世界最高峰と言われているコンテンツである。日本でもこれまでに漫画やゲームなど様々な形で使われて来たコンテンツで、最近では映画『レッドクリフ』が公開され、大ヒットした。これを受けて、ついにテレビドラマ『三国志』がスタート。本家中国の意地を見せたこのドラマは、世界最高峰のコンテンツを最高の形で映像化するため、総製作費25億円、製作期間6年という中国ドラマ史上最高のスケールで製作された。これまでに作られた過去の『三国志』の作品では描けなかった戦闘シーンの課題は『ロード・オブ・ザ・リング』の特殊効果チームが参加することで克服。メインキャストだけでも実に300人以上、エキストラに至っては15万人が参加、95回にわたって放送され、95話すべてが視聴率ナンバー1になるという未曾有の大ヒットを記録。文字通り常識を覆す中国ドラマ史上最高傑作が誕生した。
ピーター・ホーとチェン・ハオはそのキャストの中でも最も日本に縁の深い二人であろう。ピーターは日本映画にも多数出演しており、『三国志』では最強の武将といわれた呂布(りょふ)役を演じている。チェンはエイベックスと契約して日本でも歌手として活動中。『三国志』では呂布の妾である貂蝉(ちょうせん)役を演じている。
この日、劇場につめかけた観客は、99%が女性客。みんな「呂布」と書かれたボードを掲げてピーターに黄色い声援を送っていた。これを見たチェンは「今日は女性客がいっぱい来てるわね。これはピーターに感謝しなくちゃいけないわ」とコメントしていた。
二人とも親日家とあって、日本の話題には事欠かない。チェンは「もう10回くらい日本に来ているの。今回は時間がなくてどこにも行けなくて残念だけど、私は北海道にも行ってるし、桜の季節に日本に来たこともあるわ。箱根の紅葉の季節にも来たことがあるし、温泉にも行ったの。今度はラベンダーの季節に北海道に行きたいわね」と話し、日本びいきは嘘ではないことを証明した。一方ピーターは「僕は胃袋で日本に対する認識を深めているんだ。昨日はラーメンを食べたんだ。お腹も心も両方満足だよ」と語りファンを笑わせていた。チェンは「私も日本の食文化を語らせたら負けないわよ。昨日はどこのラーメン屋がおいしいか、ピーターと二人でラーメン談義してたの」と対抗意識を燃やし、まるで夫婦漫才のようなほんわかしたムードに会場が包まれていた。
『三国志』といったら、中国、台湾、香港では誰もが当たり前のようにその歴史を知っている。しかしピーターはアメリカンスクールに通っていたので、他の人に比べると理解は深くなかったらしく、このドラマに出演したことで理解を深めたという。「ゲームをやっている人ならわかると思うけど、どのゲームでもいつも決まって呂布は戦闘スキルが最強レベルの武将なんだ。これはファンを失望させてはいけないと思ったよ。撮影のときは兜と甲冑を身に着けてたけど、僕がマッチョなのかやせ形なのかわからないくらい大きくて、とにかく重たかった。頭に赤ちゃんが乗ってて、さらに背中に大人の人を背負ってるような、まるで僕はデブになった気分だった」と話していた。
続いて『上海タイフーン』でピーターと共演したことがある林丹丹が、『三国志』にちなんで三色の花をピーターにプレゼントした。林は「日本で素敵な時間を過ごして欲しい」と中国語でメッセージを送った。ピーターは林を「『上海タイフーン』のときよりもだいぶ成長したね。でもどんなに成長しても僕を超えることはないんだよね」とジョーク混じりに迎えていた。
林が「私も中国テレビドラマにもチャンスがあればぜひ出演したい」と語ると、プロデューサーとしての顔も持つピーターは「そうだね。そういう機会を作ってあげるよ。ついでに僕は彼女から日本語を習おう」と二つ返事でOKしていた。
時間もあっという間にたち、司会者が「これで終了ということで」と切り出すと、客席はそろって「えー!」とブーイング。そこで、舞台挨拶としては異例中の異例となるアンコールが実現した。チェンはこの熱気を見て「私、お先に失礼しようかしら。ピーターの横にいると皆さんに後で殴られるかもしれないから」と言って帰る振りをして笑わせつつ「『三国志』が日本で成功するかどうかは全部ピーターにかかってるわね」と色っぽい笑顔で語っていた。
この後、観客は全員「貂蝉」と書かれたボードを掲げ、チェンを喜ばせたが、ピーターはこれを見て「あれ。さっきまで「呂布」じゃなかったっけ? 僕、目がおかしくなったのかな」とお茶目なジョークで笑わせていた。
『三国志』は、10月27日にレンタル開始。前篇DVD-BOXは12月リリース予定。(文・澤田英繁)