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浜崎貴司『40歳問題』のラストシーンは生!

【ジョリー・ロジャー】9月7日(日)、渋谷C.C.Lemonホールにて、映画『40歳問題』に連動したロック・コンサートが開催され、映画に出演している浜崎貴司、大沢伸一、桜井秀俊、監督の中江裕司による記者会見がコンサートの直前に行われました。

『40歳問題』は、「ロック・ミュージシャンについての映画を作ろう」というところから始まり、当初はフィクションドラマの製作を予定していましたが、ロック・ミュージシャンを描くには、ロック・ミュージシャンそのものを撮るのが一番いいのでは?ということになり、浜崎貴司、大沢伸一、桜井秀俊に密着するドキュメンタリー映画として作ることになりました。

およそ20年前、日本はバンドブームのまっただ中でした。「イカ天」というバンドのための番組も放送され、ロックが鳴り止む日はないと思えたものでしたが、それも今は昔。当時バリバリにロックしてた若者も今では結婚してパパになっていたり、体力もだいぶ衰えて、色々な社会問題を抱えていたりします。この作品のテーマは、ロック・ミュージシャンたちが、40歳になったことの意識について議論することです。

中江裕司監督は沖縄の映画で知られていますが、今回は沖縄をはなれて、意欲的にこの作品に挑みました。ジャン・リュック・ゴダールが一度ローリング・ストーンズに密着して「悪魔を憐れむ歌」の作曲過程をありのままに描いたことがありましたが、『40歳問題』では、浜崎貴司、大沢伸一、桜井秀俊3人の共作曲「LOST CONTROL」ができるまで、曲のコンセプトのすりあわせから完成まで、カメラを最後まで回し続けます。

そして、この日、C.C.Lemonホールのライブでこの曲が披露されることになっており、ここで演奏して初めて曲が完成することになっていました。会見ではいったいこの曲がどういう曲になるのか、当人ですら予想もつかない状態でした。このライブでの出来事が、映画のラストシーンになることが決まっていました。つまり観客全員が映画のラストシーンに参加し、作曲過程の最終部を目撃するのです。

浜崎貴司
初代イカ天グランドチャンピオンFLYING KIDSのヴォーカル、浜崎貴司。「日本社会は、年を取っていくということがあまりよろしくないという空気感がある。どんどん年を取った方が面白んじゃないかという話になっていけばいいなと思う」

大沢伸一
日本のクラブカルチャーをリードしてきた大沢伸一。「自発的じゃない集まり方をして音楽を作らなければならないところに怒りを感じてスタジオに入った」というように、この映画では3人が曲を作っていて葛藤する様も浮き彫りになっています。

桜井秀俊
真心ブラザーズの桜井秀俊。「エレキギターをアンプにつないで鳴らしたときに背中がぶるぶるっと震える感じは、40歳になっても、中学のときとびっくりするほどまったく変わっていなかった。好きなことは一生薄れない」とコメント。

・・・そして、コンサートは始まりました。

この日のコンサートは3時間強、5部構成で行われました。第1部はスネオヘアーによるロック。第2部はスチャダラパーによるラップ。第3部は青りんごス(リリー・フランキー×箭内道彦)によるフォーク。第4部は浜崎貴司によるファンク。そして最後に『40歳問題』のラストシーンとなる「LOST CONTROL」が初披露されました。いずれも40歳になることをテーマにした内容でした。ほとんどノーリハーサルだったので、スネオヘアーとリリー・フランキーの下ネタ話は酒が入ってますますエスカレート。リリー・フランキーは「白いチン毛がはえた」と、40歳の悲哀を歌にしました。

「LOST CONTROL」は緊張感たっぷり、すさまじいパワーで迫ってくるロックチューンで、このライブのラストを締めくくるにふさわしい圧巻の一曲になっていました。どういう曲になるか、当人たちも予想がつかなかったといいますが、最後には曲が暴走してびっくりする展開に・・・。これぞロック魂。まさに生ならではの感動。ドキュメンタリーが描く真実です。その全容は、映画の中で体験しましょう。

40歳問題』は、2009年早春より渋谷シアターN他全国順次公開予定。

2008年9月9日 01時56分

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