ブロードウェイ・デビューの米倉涼子『シカゴ』日本凱旋上演
赤坂ACTシアターで、8月30日(木)からブロードウェイミュージカル『シカゴ』の上演が始まった。ブロードウェイでの上演を成功させた米倉涼子とアメリカ版カンパニーによる日本凱旋上演である。
今年3月、米倉涼子がニューヨークのブロードウェイでアジア人として初めて『シカゴ』の主役ロキシー・ハート役として出演することが報道されたときには、日本中が驚喜したものである。
ロキシー役は、映画『シカゴ』ではレネー・ゼルウィガーが演じていた役である。ブロードウェイでは、これまでブルック・シールズ、メラニー・グリフィス、ミシェル・ウィリアムズなどがこの役を演じており、アジア人がこの役を演じたのは米倉涼子が初めてである。また、日本人女優がブロードウェイのステージに主役として立ったのは実にナンシー梅木以来54年ぶり。大変な快挙であった。日本語版『シカゴ』(共演は和央ようか、河村隆一)でロキシーを演じていた実力が本場ブロードウェイで認められた結果であった。このとき米倉涼子はまだ英語を全く話せなかったという。
現地ニューヨークでは、当初は「なぜ日本人なのか」という疑問の声が一部あがってはいたものの、7月のブロードウェイ公演を無事成功させると、米倉は「過去にないロキシー像を創り上げた素晴らしいパフォーマーだ」と賞賛された。今回の日本公演はアメリカ版カンパニーを招へいしての凱旋上演となり、セリフは全編英語、字幕スーパー付きとなっている。
初日上演前の囲み取材で米倉本人は「英語がつらくて今も課題がいっぱい」と話していたが、いつも映画やテレビドラマでは日本語で話す米倉が、ステージ上では完璧な英語で喋っていることに改めて驚かされる。ブロードウェイの観客は米倉のスタイルと表情に対して好意的だったが、米倉がブラックのミニドレスにセクシーなタイツ姿で登場すると、劇場の空気は一変、コミカルで表情豊かな演技は観客を魅了していた。歌と踊りも見事なもので、アムラ・フェイ・ライト(映画ではキャサリン・ゼタ・ジョーンズが演じていたヴェルマ役)との掛け合いは圧巻であった。
米倉に体力作りの秘訣を訊けば「楽しくやること」と即答。その飾らない人柄はカンパニーの皆からも愛されていて、「ブロードウェイではモてました」とも。ビリー役のトニー・ヤズベックは「涼子はブロードウェイでも素晴らしかったが、日本に来てもっと進化している。ニューヨークを代表して言うと、彼女は綺麗だし、才能もあるし、面白いから、ニューヨーク中の男性が彼女を誘いたいと思っているはずだよ」と米倉の魅力を讃えていた。(文・写真:澤田英繁)
ブロードウェイ・ミュージカル「CHICAGO」
8月30日~9月16日 赤坂ACTシアター
問合せ:キョードー東京 0570-064-708
公式ホームページ:http://www.chicagothemusical.jp